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2019.01.16

鈴木るりか【14歳、明日の時間割】

14歳、明日の時間割

14歳、明日の時間割鈴木 るりか 著
税込価格: 1,264円
出版 : 小学館
ISBN : 978-4-09-386524-1
発行年月 : 2018/10/17
利用対象 : 一般

中学校を舞台に、時間割に見立てた7編の短編で、現代人の苦悩、笑い、絆、友情、想いを鮮やかに描写する。笑って笑って、ホロッと泣かせる、胸に迫る青春群像。中学生作家の小説第2弾。【「TRC MARC」の商品解説】


デビュー作で10万部という数字をたたき出した著者の、第二作目。

中学の学科になぞらえての、7つの連作短編。


一時間目の国語では、まさに著者自身のその後のようなものが描かれる。

二時間目「家庭科」。家庭科クラブに入った男子中学生。彼はなぜ家庭科クラブに入ったのか。
互いに編んだマフラーを交換して、淡雪のような交流は突然終わる。

三時間目は「数学」なのだが、ここで違和感がある。
それまで女子の語り手だったのが、突然「僕」になったからだ。
どうやら、同じクラスの男子の話らしい。

ここでも出てくる中原君というのが、いい味を出している。


四時間目は「道徳」で、これまた違う男子中学生が語る話。
何とも不思議な家族で、これはこれで楽しい。


そして昼休みに入る。

「一人孤独を楽しんでいる」ように見せている女子中学生。
ここでも、中原君登場。


午後の授業は、「体育」。

語り手は、体育の苦手な女子、茜。
足の速い中原君がまたも登場するが、彼の兄の話も出てくる。
また、母に疎まれている級友の涙も。

茜という名は、中学教師だった祖父が付けてくれた。

茜さす 紫野いき 標野行き
の「茜」だ。
この祖父の存在が実にいい。

祖父は死の床にあるのだが、その部屋へ行って色々話をする茜もいい子だ。
祖父の言葉に

生きものは、死ぬ瞬間までは、生きているんだな、
というのがあって、現役時代に遭遇した犬の話をしてくれる。

そういう話から、茜は苦手なマラソンで賭けをしようとする。
祖父の命が今少し永らえることを願って。

本書では、この「時間」が一番良かった。


ここまで担任の先生も登場していたが、放課後は彼の出番。
さて、彼は無事小説家になれるのだろうか?


手慣れたタッチでササッと書き上げた感じ。
中学生と思うからビックリするので、既に知識は大人並みだ。


挿画は、【大家さんと僕】(18.01.05)の、矢部太郎さん(カラテカ)。


14歳、明日の時間割
2018年10月17日初版第1刷発行

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