奥田英朗【向田理髪店】
奥田 英朗 著
税込価格: 648円
出版 : 光文社
ISBN : 978-4-334-77763-0
発行年月 : 2018/12/07
利用対象 : 一般
かつては炭鉱で栄えたが、すっかり寂れ、高齢化が進む北海道苫沢町。理髪店を営む向田康彦は、札幌で働く息子の「会社を辞めて店を継ぐ」という言葉に戸惑うが…。【「TRC MARC」の商品解説】より
冒頭の表題作【奥田理髪店】で、主な登場人物が紹介される。
奥田理髪店の当主、康彦と妻恭子。康彦の母。息子の和昌は、札幌から戻ってきて家業を継ぐという。
康彦の幼なじみ瀬川や谷口。
役場の佐々木助役は、東京から来たイケメンだ。
【祭りのあと】では、やはり康彦の幼なじみで東京へ出ている武司の父親が倒れた話。運良く命は取り留めたが、逆に、その喜八の妻は病院通いが大変かと思いきや……。
過疎の地で倒れると、周囲も大変である。
【小さなスナック】
学校を卒業後札幌へ出ていた早苗が、母親の面倒を見に戻ってきて、スナックを開業した。
町の男たちはここ何年もなかった華やかな変化に、浮き足立っている。が、奥さん連中は心穏やかではない。
その過疎の町に、映画のロケ隊がやってきた。
【赤い雪】では、久しぶりに町中で活気づく様子が描かれる。
しかし映画が出来上がってみると、住民の描かれ方が……。
二転三転する住民の反応が、さもありなんという感じで笑える。
最後の【逃亡者】では、ついに東京で事件を起こして指名手配される若者が描かれる。
ここでは若者たちの働きが見事で、次の世代へ期待することが出来るかもしれない。
何もかも隠すことの出来ない地方では、逆に隠さなくてもすむ、つまりいつばれるかとビクビクしていなくてもいいという利点がある。
康彦は、これら町の小さな事件(?)の中で、比較的冷静な態度を貫いている。
自身、息子の将来や自分たちの老後のことを心配しつつ、どこか達観している。
そして、この町は、このまま変わることなく時が過ぎていくのだろう。
向田理髪店
Kindle版価格:648円
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