相沢沙呼【雨の降る日は学校に行かない】
相沢 沙呼 著
税込価格: 562円
出版 : 集英社
ISBN : 978-4-08-745553-3
発行年月 : 2017/03/17
利用対象 : 一般
スクールカースト、保健室登校…学校生活に息苦しさを感じる女子中学生たちの揺れ動く心を綴った連作短編集。劇的なハッピーエンドではないが希望を感じさせる結末が共感を呼ぶ。(解説/春名風花)
【ねぇ、卵の殻が付いている】
一人の生徒を不登校に追い込むことは、彼女(又は彼)の将来への選択肢を奪うこと。勉強する権利を奪うことだ。
ナツは保健室登校生。
同じ学年のサエがやってくるようになってから、ひとりぼっちではなくなった。
だがそのサエが教室へ戻る時、何故か声をかけられなかったことを後悔している。
【スクールカースト】では、容姿のことが元でからかいの対象にされている真由の言葉が浸みる。
彼女は、傘を貸してくれた小学校からの同級生エリに、その傘を返せない。自分が声をかけることで、相手に迷惑をかけるのではと恐れている。
エリが自分の容姿を元にしたあだ名を付けた本人であることを、真由は知らない。
語り手であるエリは、やましさを感じながらも大勢側からはずれることが出来ない。
そのエリも、
だって、どう考えたって、醜い生き物は、あたしたちの方だ。と気づく。
そして次にグループから誘われたとき、真由との約束を守るために、誘いを断る勇気を持とうとする。というところで終わっている。
これには勇気がいるだろうな。どうするかな?
最終話、表題作の【雨の降る日は学校へ行かない】は、泣けてくる。
辛かっただろうな。
でも、この子が冒頭の【ねぇ、卵の殻が付いている】のサエであったことに、ホッとする。同時に、あのひどい教室へ帰って行ったんだと驚く。
その後のことは書かれていないが、ナツがサエに逢いに理科室へ赴くところがあったから、転校までの一時期をなんとか乗り切ったのだろう。
ゆで卵をうまく剥ける日が多くなるといいね。
雨の降る日は学校に行かない
Kindle版価格:518円
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