藤岡陽子【手のひらの音符】
藤岡 陽子 著
税込価格: 680円
出版 : 新潮社
ISBN : 978-4-10-120561-8
発行年月 : 2008.9
利用対象 : 一般
45歳独身のデザイナー・水樹は、自社が服飾業から撤退することを知らされる。途方に暮れる水樹のもとに、恩師の入院を知らせる電話が。【「TRC MARC」の商品解説】より
本書も、現在と過去を行き来する。
京都の団地で、小・中・高と過ごした水樹。
自分の対象を見つめる目を封印していたのだが、それを目覚めさせてくれたのが、高校時代の恩師遠子先生だった。
そのアドバイスでデザイナーになったのだったが……。
幼なじみの信也一家は、高校卒業後行方が判らない。
運命は、信也たちに過酷な試練を与えていた。
父の死に続いて、優しくて、強い、長兄正浩の死。
水樹にとって、父母の死よりも堪えた。
上京した水樹はデザイン学校を出て、服飾のデザイナーになった。
その会社がバブルで行き詰まったとき、京都で中高と一緒だった憲吾から、恩師の病気を知らされる。
憲吾は帰国子女だったが京大へスッと進み、今では京都市役所に勤めている。
憲吾や遠子先生との再会が、水樹に新しい生き方を教えてくれたのかもしれない。
信也の弟悠人のこと。
今でこそ少しは理解が得られるようになった発達障害の悠人は、今では大学院を出て研究職に就いている。
バブルがはじけた頃に育って、その影響をまともに受けた子どもたちの暮らし。
いったい、バブルって、何だったんだろう?
最後は希望の持てる終わり方で、よかった。
「手のひらの音符」って、何を指すのかな?
カバー絵で水樹が音楽の指揮をしているが、左腕にはまち針の針山を括り付けているようなのが、面白い。
手のひらの音符
Kindle版価格:630円
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