森絵都【永遠の出口】
森 絵都 著
税込価格: 650円
出版 : 集英社
ISBN : 4-08-746011-8
発行年月 : 2006.2
利用対象 : 一般
「私は、“永遠”という響きにめっぽう弱い子供だった。」どこにでもいる普通の少女、紀子。小学三年から高校三年までの九年間を、七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。【「BOOK」データベースの商品解説】より
小学4年生から高校3年生までネオ9年間のことが、9つの章に書かれている。
第一章 永遠の出口
第二章 黒い魔法とコッペパン
第三章 春のあなぼこ
第四章 DREAD RED WINE
第五章 遠い瞳
第六章 時の雨
第七章 放課後の巣
第八章 恋
第九章 卒業
「永遠」という響きに弱い子どもである紀子がクラスの誕生会を巡っての体験談、第一章【永遠の出口】。紀子は「永遠」を卒業したのか。
ほろ苦い後味の冒頭作。
第二章【黒い魔法とコッペパン】は、読んでいて胸が悪くなるような話だった。
しかし案外、コッペパンを焼くストーブで靴下を乾かしていたという事実は、効果があるのだなぁ。コッペパン焼きのことが出てきたとき、ふと何か綺麗でないものを載せたりすることはないのかなぁと思ったのだった。
その暗い5年生時が過ぎた6年生ではいいクラスだったようで、
第三章【春のあなぼこ】では、友だちと冒険する。
そして、やや不安を抱きつつ中学生になったのだったが。
ここで、紀子は一種のはしかにかかった。
ケジメを重んじる両親の、思わぬ法律違反。
それが引き金になったわけではないが、彼女はどんどん軌道をはずれていく。
一番難しい中二時代。
しかしそれも、何とか乗り越えたと思ったら、今度は父母の危機が。
第五章【時の雨】
時と雨で、「しぐれ」と読む。しかしここでは、時の雨がそれこそ「雨降って地固まる」役割を果たしてくれたのかな。
と読み進めてきたのだが、最後までこれが再読だということに気づかなかった。
最初に読んだときよりも、おそらく今回の方が色々と考えている。
8年前の感想はサラッとしたものだが、第二章など看過出来ないことも含んでいるような。
高校生になってからは、アルバイトで人生を学び、恋に破れ、地球が50億年後には太陽に飲み込まれてしまうと知って、仰天する。
その……ぜんぶが終わるなら、永遠って、何一つ本当に、本当にないんだって……」
最後は、
永遠の、限りないものに憧れる。
でも、限りあるものほど、いとおしく思える。
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森絵都【永遠の出口】(10.09.27)
永遠の出口 Kindle版価格:450円
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