« 門司港駅、復元終え全面開業 | トップページ | 気付けば3本だけの「ひかりレールスター」 »

2019.03.12

夏樹静子【77便に何が起きたか】

77便に何が起きたか

77便に何が起きたか夏樹 静子 著
税込価格: 545円
出版 : 光文社
ISBN : 978-4-334-71538-0
発行年月 : 1992.6
利用対象 : 一般

東京発福岡行きの太平洋航空77便が、空中爆破された! 乗客の手荷物に時限爆弾が仕掛けられていたらしい。一方、爆死した乗客51名の中に、わずか人口5万のT住民が4人も含まれ、搭乗を取り止めた者の中にも1人、T市住民がいた。だが、5人の間には何の繋がりも見いだせなかった……?

収録作は表題作の他

【ハバロフスク号殺人事件】
【特急夕月】
【山陽新幹線殺人事件】
【ローマ急行殺人事件】

いずれも読んだことがあるような気がするが、忘れているものが多い。


【77便に何が起きたか】は、同じ市で共通するものを探していくという地味な捜査が実を結んだ。
当初、何の関係もないと思われた、事故の被害者たち。

最初の方でキーワードが出てきていて、それが実に見事に収束される。

遭難した人たちには、実は共通点があった。それが、そのキーワードなのだが。

偶然知ったことを利用して、ほぼ自殺的行為をした老女。
家族を巻き込まないための工作は、兄への感謝の表し方か。
それにしても、一生懸命伝えにいって事故死した会社員は憐れ。


【ハバロフスク号殺人事件】

まだソ連時代の話。
学生たちがソ連のハバロフスク号を使って大陸へ行く旅行をする。
その船内で、グループの一人佐紀子が殺されるという事件が起きる。

折しも北海道の高速道路計画があり、抑留されていた技師が登場し、と話は大きくなりそうだったが……。

解決してみれば、なんてこと無い話ではあったのだが。
諜報機関やら国家権力やらと、ありそうな話に引き込まれるが……。


【特急夕月】はunlimitedで、この一作だけ単独で読んだ。

列車時刻表のトリックというより、心理サスペンスのようで面白かった。


【山陽新幹線殺人事件】

山陽新幹線が開通した年の事件。
「ひかりは西へ」の頃で、使われる列車は「ひかり」。

お!列車トリックか!

と思わせて……。

このトリック、著者は他の本で使っておられた。自分でも確認してみたから覚えている。


【ローマ急行殺人事件】

有名な【オリエント急行殺人事件】の小型版?
パリからローマへ向かっている列車のコンパートメント内での殺人。
現場は、開かれた密室。

犯人は、コンパートメントにいた大人3人の内の誰かか?

事件の被害者は日本人で、その会社で働いていた男が、帰国して大学の恩師を訪ねてことの詳細を語る。
その話だけで、教授は真相を言い当てた。

途中重大なヒントがあるが、自分もアレッと思ったので嬉しかった。げに子どもは正直だ。


著者はトリックを考えるとき、必ず実験なさるとどこかで読んだことがある。これも、実際に乗ってみられたのかな?
と思っていたら、解説で触れておられた。

コンパートメントというのは、一緒に乗る乗客が誰か判らないから、不安になるような気がする。


この山陽新幹線では個室を備えた列車「レールスター」があって、いつか家族で乗ってみたかった。


画像は、中公文庫のもの。

77便に何が起きたか
Kindle版価格:864円


|

« 門司港駅、復元終え全面開業 | トップページ | 気付けば3本だけの「ひかりレールスター」 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 門司港駅、復元終え全面開業 | トップページ | 気付けば3本だけの「ひかりレールスター」 »