瀬尾まい子【春、戻る】
- サイズ:16cm/215p
- ISBN:978-4-08-745541-0
結婚を控えたさくらの前に、兄と名乗る謎の青年が現れた。明らかに年下の「お兄ちゃん」は、私の結婚にあれこれ口出しを始めて…。【「TRC MARC」の商品解説】より
この「お兄さん」という人、かなりイライラする。
さくらがもっとハッキリとしてくれればいいのに。それどころか、だんだん懐柔(?)されていってる様子だ。
確かに、人なつこくて高齢者には受けがいいのだろう。でも、こんな他人の暮らしの中に(精神面でも実際にも)無神経に入ってこられるのは、苦手だ。
ただ、だんだん「お兄ちゃん」の話を聞いていく中で、もしかしてさくらが封印している過去と関係あるのではと思わされるようになる。
このあたりが、著者の思うつぼなのだろうが。
そしてその通り、最後の結婚式には当時縁のあった方も来て下さって……。という展開になった。
さくらの婚約者山田さんという人が、実に見上げた「いい人」だ。お兄ちゃんとも、サラッと打ち解けている。
素のままで「いい人」だが、和菓子屋(お兄ちゃんは団子屋と呼ぶ)の仕事に誇りを持っていて、荻原浩【花のさくら通り】の守と似たところがある。
誰に対しても丁寧で、それがやや他人行儀な感もあるが。
さくらの封印していた過去は、著者の体験も少しは入っているかもしれないという気もした。
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