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2019.05.14

佐川光晴【おれたちの青空】

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価格:540円
カテゴリ:一般
取扱開始日:2013/12/11

父親が服役中の陽介、虐待の記憶に苦しむスポーツ万能の卓也。札幌の児童養護施設に暮らす彼らは、高校進学を前に、将来を見据えてそれぞれの選択を下す…。【「TRC MARC」の商品解説】

【おれのおばさん】(19.05.20)の続編だというから、中学卒業までを描いているのかと思ったが、若干はずれた。

二つの中編と一つの短編からなっており、表題作の【おれたちの青空】はむしろ短編で、前作の続きを描いてある。

陽介は仙台の全寮制男子校に推薦で入学が決まった。
卓也もスポーツ枠推薦で、青森の強豪校へ進む。
あとの三人はそれぞれ農業高校への進学が決まっている。この三人にとって、奄美大島での体験と自信は、非常に大きかった。

ただ一人公立校を目指すは卒業後の発表待ちだが、これも問題ないだろう。

本書の最後で、恵子おばさんは芝居へ復帰することを宣言する。
だがそれについては、既に本書の中で解決済みだ。

その残りの中編二作だが、

【小石のように】では、卓也の生い立ちが明らかにされる。

魴鮄舎では他の子どもたちの過去には、触れない。
しかし卓也は、陽介に自分の過去を話してくれるよう、竹田さんに頼んでいた。
親に二度捨てられた過去を持つ卓也は、しかし恵まれた身体と運動神経のおかげで、いや無論恵子おばさんや当初から関わってくれた保護司の慈しみで、こんなにちゃんと育った。

また【わたしのいい人】では、恵子おばさん自身に触れている。
小浜の故郷での幼い頃。医者になると決めて入った北大時代。そこでのめり込んだ演劇と恋愛。そして、結婚・出産・離婚。
いつでもおばさんは、一生懸命だった。

妹令子の不幸で預かった陽介だったが、そのおかげで姉妹の絆も取り戻せたし、おばさんはおばさんとしてこれまで通り生きていくことだろう。
その令子も、強くなった。

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【おれのおばさん】(19.05.20)

 

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