
価格:518円
カテゴリ:一般
販売開始日:2016/02/23
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
ISBN:978-4-575-51573-2
ラストに光が射し込み、家族の絆を鮮やかに浮かび上がらせる、シリーズ40万部突破の第5短編集。
人気のシリーズ本らしい。
【父ちゃんとホットドッグ】
父とはけんか別れをしたまま、もう長い間会っていない。気持ちの優しい弟が後を継ぎ、時折様子を知らせてくれる。
その弟が、入院した父を見舞うようにと説得に来る。
しぶしぶ出かけた病院だったが、父はホットドッグの思い出を覚えていた。
【ピンクのカーネーション】
これが一番良かったかな。
結婚した相手には、娘がいた。彼女は亡くなったママを忘れることが出来ない。
いつもママの味やお世話を比較されて気を遣いすぎている「わたし」。
自分を名前でしか呼んでくれないことに寂しさを感じながら、それでも一生懸命がんばっている。
最後がやはりシンミリとする。
【七夕】
家族の誰も自分の誕生日を覚えてくれてなかったからと、拗ねて一人ホテルを予約して泊まりに行く。
そういう恵まれた環境にあることに、感謝の一つもあればいいのに。
【だめもと】は女どもの身勝手さに、他人事ながら腹が立つ。
最後のオチはないだろう。
【裏窓の食卓】
じんわりと涙が出てくる。
妻に先立たれ、一人娘は会話が成り立たないまま結婚して別に住んでいる。
妻が可愛がっていた孫とも、なかなか会えない。
そんな初老の男が、一人わびしい食卓で、近所の家庭の話し声を聞く。その幸せそうな会話と合わせるように食事をし、過去を後悔している。
名画【裏窓】を少しなぞりつつ、だが少し希望の持てる最後だった。
【埋め合わせ】
週に二度だけ行く病院での、ボランティアで清掃をしている老人の話にじんとくる。
開業医の次男で成り行きで医者になった「私」は、少しは気持ちを入れ替えるだろうか。
いや、子どもに受けがいいというから、案外本当は医者に向いているのかも。
【ぶかっこうなおにぎり】
タイトルからも想像できるように、父親が作ったおにぎり。
小学校の時、ギックリ腰になった母親に代わって父が持たせてくれたお弁当には、大きなおにぎりが入っていた。
友だちの前でそれを食べず、捨ててしまった。
今は東京でひとり暮らしをしている亜季のところへ、出張した父が訪ねてくる。
寝落ちしてしまった彼女が起きたとき、父が握ったおにぎりが残されていた。
親が、特に父親が娘に出来ることは、だんだん減っていく。
そういうちょっとした悲哀の話の一つだが、やはりちょっとだけホロッとくる。
最後の【サンタ失格】
別居中の夫がサンタになって、妻と幼い息子の家に向かう。
サンタはタクシーでは帰れないよね。
シリーズの5冊目ということで、同じような話が続いているのだろう。
辛口で終わらないという姿勢はいいとして、本書だけでもやや食傷気味。
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