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2019.07.28

安藤祐介【被取締役新入社員】

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価格:648円
カテゴリ:一般
発売日:2013/04/12
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
サイズ:15cm/362p
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-277532-8

ダメ男・鈴木信男が社長から与えられた使命は、他の社員の軽蔑や罵詈雑言を一身に浴び、社内ストレスの“捌け口”となることだった…。【「TRC MARC」の商品解説】

タイトルが普通と違って捻った読み方をさせている。『とりしまられ役新入社員』と読む。
こういう役回りもあるということか。

超ダメ振りが評価されて「被取締役」を拝命した信男だったが、終盤とのギャップがひどすぎ。
はじめからドラマの原作ということだったようで、変化の激しい方がドラマとして面白いからだろうか。

しかし表紙絵から想像したおちゃらけたものではない、ちょっと考えさせられる内容だった。
2008年の作品だが、この10年、過労が元で自殺した会社員も多い。某有名広告会社もその一つだ。
それを憂えてのこのポジションだとすると、ここの社長は少しは人間味があるのか?

最初は順調にダメ振りを発揮していた信男は、部内で「一人いじめられ役」に徹して部の円滑な人間関係に貢献する。ところが、ある偶然から仕事に成果をあげてしまい、部内はギスギスした空気になっていく。

役員からは「被取締役」としての仕事をしていないことをなじられ、次の失敗を厳命される。

そこへ降りてきたプレゼンの仕事。
お題はなんと「ストップ、いじめキャンペーン」で、(両方の意味で)あまりにも自分にぴったりなタイミングだった。

28年間ずっとさげすまれることに慣れていたとはいえ、一度知った「仲間」意識が、ダメ男に戻ることに抵抗を示す。
このキャンペーン、まさに自分のためのものではないか。

後半、この「被取締役」と自分の気持ちとの葛藤があるのだが、元々あり得ない設定だけに、やや説得力に欠けるか。

最後に彼は、愛する人と「誇り」を手に入れた。
この彼女が、また不思議人間のような気もする。

部長の思いがけない密かな気遣いが、面白かった。

 

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