渡辺淳子【東京近江寮食堂】
価格:713円
カテゴリ:一般
発売日:2017/10/11
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
サイズ:16cm/289p
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-77542-1
〈谷根千〉にある近江寮で、うまいものを提供しながら、食べること、生きること、進むことを考える−。おばちゃんの自分探しを切々と描く長編。【「TRC MARC」の商品解説】
家出した亭主から、10年ぶりにハガキが来た。主人公はそのハガキを握りしめ、東京へ探しに来る。
ところが、財布を落としてしまう。
その財布を拾ってくれた安江がやっているのが、東京近江寮という滋賀県人用の宿泊所だった。
主人公はお金がないので、そこで賄いをしながら亭主を探すことにする。
彼女が作る料理がおいしそう。
縁あってここでご飯を食べた人たちから次々と評判が拡がり、彼女は近江の料理を出すようになる。
この頃から、宿泊施設と言うよりは「近江寮食堂」となっていくようだ。
しかもその料理が人々を変えていく。
章ごとにタイトルがつく短編集ではないが、それぞれ一つずつ話が独立しつつ繋がっていく。
癌のパートナーを入院させて自らも時々泊まりに来る池花。彼とパートナー忍の話がよかった。ちょうど【きのう、何食べた】を観ていたからかもしれないが。
昆布出汁の威力満点というところ。
亭主は、東京で親切な人のアドバイスで少しずつ自分を取り戻しているようだ。
いつか、自分を迎えに来てくれるだろうか。
また安江の姑ヨシ子さんの存在も大きかった。
認知症のようでいて、しっかりとアドバイスもしてくれる。
ゲイカップルにしても、「そういう時代になったのだねぇ」と受け入れることが出来る。
表紙絵のおにぎり。おいしそう!
白いお米のおにぎりは、最高のご馳走だ。
彼女と安江のやりとりが、漫才のようで面白い。
しかし少し違和感のあったのが、というか好きになれなかったのが、『何々なのよお』といった語尾。
これは主に寮の管理人である安江が使う言葉だが、最期までなじめなかった。
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