都筑道夫【退職刑事3】
Kindle価格:570円
販売開始日:2018/12/26
出版社: 東京創元社
レーベル: 創元推理文庫
ISBN:978-4-488-43404-5
現職刑事の手に余る難題に往年の辣腕を揮う、退職刑事の事件簿七編を収録。 名シリーズ第三集。
冒頭作【大魔術の死体】は、四面ガラス張りの電話ボックスが舞台。窓ガラスにはまったく傷がないのに、中の男が撃たれて死んでいた。しかもそれを、男をつけてきた警察官が目撃している。
この「大魔術」というか密室トリックは、退職刑事も大したことはないとしているが、もしかしたらと思えるところがある。電話ボックスまでたどり着いた男の様子にそのヒントがあったから。
【仮面の死体】は、被害者の顔にお能の面がかぶせてあったというもの。
容疑者は自首して事件は解決したかに見えたが、その容疑者は面については知らないという。
あわや冤罪になるところを、ちょっとした話の矛盾から真相を見抜く元刑事。「恍惚」人生に入りかけているようで、「硬骨」漢は健在のようだ。
【人形の死体】
これはやや異色の、気味の悪い話。
【散歩する死体】
公園にあった死体(の人物)は、死亡推定時刻に他の場所で発見されていた。
【筆まめな死体】は、被害者がマメにメモっていたことをヒントにして推理するというもの。
婚約者に渡していたメモの中に犯人がいるという。
それを元刑事と現職刑事が推理するのだが、こじつけが多くてあまり面白くなかった。
【料金不足の死体】
これは、被害者の額に40円切手が貼ってあったというもの。40円じゃ、どこへも運んでもらえまい。
何故か清張の作品を思い出した。チッキにしたんだったかな?
しかし苦し紛れにしても、これも少々無理があるような。
どの話の中でだったか、退職刑事がクイーンを読んでいた。【Xの悲劇】で、『指云々』と現職刑事が口に出し、まさにネタバレ。
この話は【Yの悲劇】【Zの悲劇】、そして【最後の悲劇】へと続くのだが、肝心の最初のトリックがちょっと無理があるように感じたものだ。読んだのはもう半世紀以上昔の話。
【最後の悲劇】は、まさに悲劇だった。
あの女の子、名前を何といったっけ?
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