アンソロジー【捨てる】
価格:767円
カテゴリ:一般
発売日:2018/10/06
出版社: 文藝春秋
レーベル: 文春文庫
サイズ:16cm/319p
利用対象:一般
ISBN:978-4-16-791161-4
夢も目標も捨てるのは簡単よ。現実を捨てるのに比べたらね−。あなたの捨てたいものは、何ですか? ミステリーからファンタジー、恋愛、ホラーまで、人気女性作家の書き下ろしによる9つの「捨てる」物語。【「TRC MARC」の商品解説】
大崎梢【箱の中身は】
小さな女の子が一人、夕暮れの公園のベンチで大事そうに持っていた箱の中身は?
それが捨てられない理由とは?
ほんわかとした気持ちになれた一作。
カイ君に会えればいいね。
松村比呂美【蜜線】
これほど身勝手な姑というのも、珍しいのではないかな。
自分のわがままのために息子が自死したというのに、こんどはその家を狙っているのだから。
しかし、先物取引というのは恐ろしいなぁ。それそのものよりも、一回うまくいったことの記憶のみ残ることが。
まぁ、ギャンブルも同じことか。一度勝てばその味を忘れられず、負けても挽回するまで続けるという麻薬的恐ろしさ。
いや、もっと怖かったのが、主人公のウツボカズラの捨て方だったが。
福田和代【捨ててもいですか?】
祖母が亡くなって一人暮らしだった祖父も亡くなった。
その祖父の遺品整理をしていて出てきた、ブリキの箱に入ったもの。
これは「捨ててもいいですか?」だ。これを巡って、母・当人・その弟がちょっとしたドタバタを繰り広げる。
最後は当人と恋人の関係進展もあって、ほのぼのと終わっていた。
それにしても「そのもの」。「捨ててもいい」にはならないだろう。
篠田真由美【forget me not】
これもまた、遺品整理の話。
父が早く亡くなり、母も死んで実家の後片付けを一人でしている娘。
子どもの頃のものから父親の趣味の道具まで、全部きっちりと残されていたのに、肝心の母親のものはほとんどなかった。
とおもいきや、この母親は、死してなお自分を娘に押しつけたかったのか。
なんだか執念を感じて、怖い。この壺を持っている限り、母親の呪縛から逃れられないのではないか。
光原百合の【四つの掌編】では、【戻る人形】が怖かった。捨てるって、むずかしいね。
光原百合は、【時計を忘れて森へいこう】で好きになり、【扉守】や【遠い約束】など読んできたが、いずれも記事にはしていなかったようだ。
新津きよみ【お守り】
祖母の作ってくれたお守りの効能やいかに。
永嶋恵美【ババ抜き】
気心のしれた三人組。実は腹の探りあいで、殺意まであるとは。
この「私」が、しれっとしていて怖すぎる。
近藤史恵【幸せのお手本】
幸せのお手本だった祖母にも、辛い過去があった。
それにしても、ここまで主人公を痛めつけなくてもいいのに。
柴田よしき【花子さんと、捨てられた白い花の冒険】
これは知ってる話だ。夏樹静子の短編で読んだような気がする。【花を捨てる女】だったかな?
登場人物は二軍の野球選手夫婦だったりで設定は違うが、被害者の状況は、花を捨てるということからして全く同じだ。。
こんなのありか?
もしかしたら自分の勘違いで、どこかでこれを読んでいたのかもしれないが……。
で、このアンソロジーだが、「アミの会(仮)」という女性作家の集まりがあって、みんなでアンソロジーを出そうという話になったとか。
本書が一番目で、次は【毒殺協奏曲】という怖いタイトルの短編集。
有栖川有栖、小林泰三といった男性作家も登場する。
こちらも、楽しみ。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 【くらべて、けみして 校閲部の九重さん】(2025.03.13)
- 【Casa BRUTUS特別編集 器の教科書】(2025.03.11)
- pha【移動時間が好きだ】(2025.03.10)
- 林望【節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由】(2025.03.08)
コメント