米澤穂信【いまさら翼といわれても】
著者:米澤穂信
価格:748円
カテゴリ:一般
発売日:2019/06/14
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-108164-8
奉太郎が「省エネ主義」になったきっかけ、えるが合唱祭の出番前に行方不明になったわけ−。〈古典部〉メンバーの新たな一面に出会う、全6篇。【「TRC MARC」の商品解説】
先日読んだ柚月裕子【孤狼の血】のような重たい話の次は、こういうホッとするものがいい。
【箱の中の欠落】は、高校の生徒会会長選挙を巡っての事件。
投票数が生徒数を上回っているという珍事が起きた。
最初の方の、姉宛に来た同窓会通知のハガキが伏線になっていた。
【鏡には映らない】ここでは伊原が語り手になっている。
彼らが中学の時の話だから、千反田はあまり登場しない。
これまでと違った、ちょっと変わった話。だが、被害者(であることに間違いない女生徒)にとって、奉太郎はまさにヒーローだろう。
【連峰は晴れているか】ここではまた奉太郎の語りに戻っている。
中学時代の教師のちょっとした言動を思い出した奉太郎。その行き着いた先には、思いがけない真実があった。
なぜ、小木先生は、ヘリを見て笑顔になれたのか?
その謎は解けない。
【わたしたちの伝統の一冊】は、また伊原の語り。
1年生の文化祭の頃、伊原の入っている漫研では、かなりひどいいざこざがあった。
それから1年、元凶(?)だった先輩が退部し、二つの派は何とか均衡を保っているようでもあった。
そんな中、伊原は誘われて騒ぎの渦中に入って行ってしまう。
漫画を描くものとして、かなりの実力を持っている伊原。
最後には、彼女なりの決断をする。
今回は、奉太郎も千反田も登場せず、福部だけが脇役になっている。
【長い休日】
奉太郎が、「やらなくてもいいことはやらない、やるときは手短に」という信念(?)を持つようになったきっかけの話。
出先で千反田に出会った奉太郎は、一緒に神社のほこらの掃除をする。
その時、落ち葉を集めながら語ったのは、小学校での体験。
それ以来、上記モットーを掲げている奉太郎だが、彼の姉によると、それは「長い休日」に入ったことになるのだそうな。
そして姉は、誰かがその休日を終わらせるはずだとも言う。
はたして、その「誰か」とはだれか?
表題作【いまさら翼といわれても】は、千反田の話で始まっている。
歌の練習をしているとき、父親に呼ばれて大事な話を聞かされたようなのだが……
そのあとは奉太郎の語りで、伊原から合奏祭に出るはずの千反田が来ないという連絡を受ける。
そして千反田を探すのだが、千反田は「今さら翼といわれても」という状態におちいっていたのだった。
俺は言うべきことはいい、やるべきことはやった。あとはもう、どうしようもないほどに、千反田自身の問題だ。
紹介文にもあるとおり、これまでとは少し趣の違う話ばかりだった。
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