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2019.12.30

柚月裕子【あしたの君へ】

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著者:柚月裕子
価格:704円
カテゴリ:一般
発売日:2019/11/07
出版社: 文藝春秋
レーベル: 文春文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-16-791377-9

家庭裁判所調査官補として研修の間、九州の福森家裁に配属された望月大地。そこで、心を開かない相談者たちを相手に懊悩する日々を送ることに…。大地はそれぞれの真実に辿り着き、一人前の家裁調査官になれるのか。【「TRC MARC」の商品解説】

第一話【背負う者】十七歳 友里

たった十七歳で背負ってきた重さは、如何ばかりだったろう。
母直子の「人様に迷惑をかけてはいけない」という呪縛が、友里をも縛っていた。

公の制度を利用することにためらいを覚える人は多い。利用することは決して恥ずかしくないということを、もっと知らしめる必要がある。

友里の母の義姉雅恵の心中を慮ると、生きることの厳しさに辛くなる。

保護観察処分より少年院送りの方が対象者を救えるとは、初めて知った。
少年院への偏った思い込みがあったようだ。

 

第二話【抱かれる者】十六歳 潤

加害者は、ストーカーを働いた男子高校生。
絵に描いたような優等生的態度で、面接に臨む。
母親も、保護司の候補に挙がっていたほどの、教育熱心な名士だ。

しかし家庭訪問をした大地は、そのあまりにも完璧な家に違和感を覚える。
果たして、母親の完璧主義は、息子を支配し続けていたのだった。

 

第三話【縋る者】二十三歳 理沙

 

第四話【責める者】三十五歳 可南

大地が福森市に赴任してから一年近く経って、彼は少年案件から家庭案件に移っている。
その第一回目。

精神的苦痛で離婚を訴えている妻を、まわりはわがままとしか捉えていない。

夫が自己愛性パーソナリティ障害であることを、大地は妻が通っている精神科医から聞く。
なんともおぞましいモラハラだった。

大地は自分を未熟だというが、徹底して調べることで真実を探り出す。
優秀な調査官だと思う。

第五話【迷う者】十歳 悠真

父母が離婚することになったとき、子どもはどうするか。

一生懸命強がってはいても、本音はやはり……。

 

これらの事例を通して、太地は確実に成長している。

 

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