宮部みゆき【希望荘】
著者:宮部みゆき
価格:1,925円
カテゴリ:一般
発売日:2016/06/20
出版社: 小学館
利用対象:一般
ISBN:978-4-09-386443-5
家族と仕事を失った杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開業した。ある日、亡き父が残した「人を殺した」という告白を調査してほしいとの依頼があり…。【「TRC MARC」の商品解説】
ホントに久しぶりに、宮部みゆきを読む。
杉村三郎は、いつの間にか探偵事務所を開業していた。
その初仕事が、冒頭の【聖域】である。
つましい暮らしをしていた人が、亡くなった。そのはずだった。だが、その方が幸せそうにしているのを目撃した近所の住人からの依頼。依頼と言っていいのか、杉村が初めて「探偵事務所」として請け負った仕事である。
お金の力というのは、スゴいことだ。これは金持ちの婿であった杉村自身が実感していることでもある。
表題作の【希望荘】
幼い頃に両親が離婚した飲食店店主からの依頼。
自分の父親が過去に人を殺したと言っているという。
その(母と離婚して家を出た)父親とは、30年ぶり位に出会う。それからは同居していた。その後、父親は施設へ移っている。
その施設で、父親が上記のようなことを口走ったという。施設の職員も、聞いている。
まもなく父は亡くなるのだが、真相を知りたい息子からの依頼なのだ。
父が家を出てから暮らしていたアパートが、「希望荘」。
調べていく打ちに解るのだが、単身の男ばかりが仲良く暮らしていた。
当時、若い女性殺害事件が起こり、「希望荘」も関係していた。
父の真意が解ってよかった。
孫の男の子が、生意気だがちょっと存在感がある。
【砂男】は、杉村が離婚して一時故郷へ帰っていたときの話。
新宿駅で、偶然当時の上司に出会ったことから、回想が始まる。同時に、杉村が仕事をもらっている〈オフィス 蛎殻〉との縁も明かされる。
【二重身(ドッペルゲンガー)】は、母親の付き合っている人が震災で行方不明になったという少女からの「依頼」。
未成年からの依頼は受けられないので、行方不明者を探すということで折り合うことにする。
この少女は、口は悪いが母親思いなのだろう。
「震災」に感情を入れ込まない方がいいという蛎殻所長の助言は、その通りだった。杉村も、それは心得ていたはずなのだが。
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