青山美智子【木曜日にはココアを】
著者:青山美智子
価格:704円
カテゴリ:一般
発売日:2019/08/06
出版社: 宝島社
レーベル: 宝島社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-8002-9712-9
僕が働く、川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」に、木曜日に同じ席でココアを頼む不思議な常連さんがいる。ある木曜日、その女性の様子がおかしくて…。東京とシドニーをつなぐ12色の物語。【「TRC MARC」の商品解説】
東京とシドニーをつなぐ、12の物語。各章には色名のサブタイトルがついており、その色にちなんだ物語が。語り手は毎回代わり、登場人物たちにはそれぞれつながりがある。
東京の舞台は、川を挟んだ二か所。「マーブルカフェ」という喫茶店と、幼稚園。
川沿いには、春が来ると見事な桜が咲く
1 木曜日にはココアを [Brown/Tokyo]
僕はフラリと入った喫茶店で「アルバイト募集」の張り紙を見て、その場で採用になる。しかも正社員で。
ところが(ほくろのある)オーナーは、店を「僕」に任せて京都へ行ってしまう。
僕→木曜日に同じ席に座る女性(マコ)に恋心→女性はエアメールを書いている 宛先はMary(ホッとする僕→僕は彼女が好きで、密かに「ココアさん」と呼んでいる)
2 きまじめな卵焼き [Yellow/Tokyo]
女性のいつもの場所に座っていた先客。キャリアウーマンだが家事が苦手。イエローは、タマゴの色。
3 のびゆくわれら [Pink/Tokyo]
幼稚園。えな:ピンクのマヌキュアを落とし忘れて先輩(泰子先生)に叱られる
4 聖者の直進 [Blue/Tokyo]
泰子ともうすぐ結婚する理沙がマーブルカフェにいる。結婚式に必要な「サムシング・フォー」のうち、ブルーが調わない理沙。
泰子は川向こうのランジェリーショップで一点もののブルーのショーツを買ってくる。
5 めぐりあい [Red/Sydney]
その理沙のオーストラリアへの新婚旅行。同じツアー客の老夫婦は、金婚祝いに娘が送ってくれた旅行できている。その娘とは、「4」のランジェリーショップのオーナーらしい。
6 半世紀ロマンス [Grey/Sydney]
老夫婦(進一郎と美佐子)の妻の方の語り。結婚するまでと結婚してからの半世紀。娘からのプレゼントでオーストラリアにいる。娘の名は、「ピー」。
マーブルカフェの店員の名前が「ワタル」君というのも、ここで明かされる。
ワタルがこの老婦人に尋ねた「秋の桜」とは?オーストラリアは、季節が日本と逆だ。
7 カウントダウン [Green/Sydney]
緑色を画きに、オーストラリアへ来た「優(You)の語り。ボタニックガーデンで絵を描いている。途中にあるサンドイッチ店。
京都のギャラリーで見た絵に魅せられて、オーストラリアへやってきた。画廊のオーナーには、ほくろがあった。
8 ラルフさんの一番良き日 [Orange/Sydney]
ラルフさんというのは、「7」で出てきたサンドイッチ店の店主の名。
アパートの隣室にすんでいた「シンディ」が好きになった。そのシンディの問いにラルフさんが答えた「好きな色」が、オレンジ。そして、シンディはヨーロッパへ行ってしまった、「オレンジを目印にするわ」という言葉を残して。
以後、店はオレンジ色であふれている。
3年後、シンディは帰ってきた。
9 帰ってきた魔女 [Turquoise/Sydney]
帰ってきたシンディが好きな色は、「ターコイズブルー」。それはシンディが好きなグレイス先生が耳に付けていた色。
交換留学生の日本人と高校時代同級になる。彼女の名は、「マコ」。「マコ」がオーストラリアにこだわるのは、ここが原点だ。
マコは、「1」に出てくる「ココアさん」でもある。
10 あなたに出会わなければ [Black/Sydney]
ここでの語り手は、翻訳家の女性。
彼女は中学時代、オーストラリアで「グレイス」という女生徒と文通をしていた。「グレイス」は、「9」で登場した「グレイス先生」だろう。
グレイスは花と話すことが出来、やがてアロマの研究家となって「アツコ」に影響を与える。
グレイスに会うために毎年オーストラリアへ行き、「マーク」と出会ってやがて結婚する。
11 トリコロールの約束 [Purple/Sydney]
12 恋文 [White/Tokyo]
そして、また川の畔の「マーブルカフェ」。
マコがその日書いているのはエアメールではなく、「恋文」
相手は、カフェの店員だった。
彼がマコを好きになったのと同じように、マコも彼を好きになっていたのだった。
そして意識せずして、お互い相手を「ココアさん」と呼んでいた。
偶然の出会いが重なりすぎている感はあるが、読後感は悪くなかった。
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