横溝正史【貸しボート十三号】
著者:横溝正史
価格:418円
発行年月:197601
出版社: KADOKAWA
ISBN:978-4-04-130430-3
白昼の隅田川にポツンと漂う一艘の貸しボート。そのボートの中を見た人々は一斉に悲鳴を上げた。中には、首を途中まで挽き切られ、血まみれになって横たわる男女の惨死体が!
冒頭の【湖泥】は、戦後まだ間もない頃の地方の出来事。
戦争が残した傷跡は、なかなか癒えるものではなかった。
そして、当時の村の人々はよそ者には無関心だった。それが、この犯罪を引き起こしたとも言える。
表題作の【貸しボート十三号】は、本の中でもたびたび出てくるが、何とも凄惨な事件である。
しかし結局その犯人には、同情すべきところもあった。
また、その犯行の隠蔽をはかった彼の友人は、見た目とは違って気持ちの優しい男だった。
ボート部の学生たちの描写が、この気持ちの悪い事件を救っているような気がする。
三作目【堕ちたる天女】の舞台は、浅草。
相次ぐストリッパー殺し。
果たして犯人は、売れない彫刻家か?
書かれたのはいつ頃なのだろう?「同性愛病患者」という言葉が出てきて、ビックリした。
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