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2020.03.03

成田名璃子【東京すみっこごはん 1】

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著者:成田名璃子
価格:660円
カテゴリ:一般
発売日:2016/04/12
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-77272-7

商店街の脇道に佇む一軒屋「すみっこごはん」は、年齢も職業も異なる人々が集い、手作りの料理を共に食べる共同台所。【「TRC MARC」の商品解説】

連作になっていて、それぞれ「すみっこごはん」に集まる人たちが語っていく。
途中で「あれっ?」と言うところもあって、軽めのミステリの要素もある。

最後に全てつながるのも、「驚きの」ではない。

冒頭の【いい味だしてる女の子】は、タイトルとは違い、かなり深刻ないじめを受けている女子高生。

彼女がこの「すみっこごはん」に初めて入った日に、「カナ」と偽名で名乗ったのが、実は大きな伏線になっていた。

意地悪な同級生とは、あっけなく別れてしまったが、どちらかというともっと懲らしめてやればよかったのにという気持ちになった。

がに股がトレードマークのような渋柿こと柿本は、ここで登場している。

【婚活ハンバーグ】

お局になりそうな正社員奈央と派遣社員との話から始まっているが、彼女たちの奈央への陰口が楓へのいじめと似ていてあまり愉快でない。

 

【団欒の肉じゃが】

タイからきた留学生の語り。

アルバイト先のコンビニの客である柿本に誘われて参加した「すみっこごはん」。
日本の団欒を知るようになる。

 

【アラ還おやじのパスタ】

楓も慕っている丸山は、妻にも言えない秘密を抱えていた。

かれは一方で「すみっこごはん」のルーツを探して色々調べている。
その時点で、ひょっとしたら柿本が関わっているのでは?という気もしてくる。

そしてそれは、大正解だった。
これがために、嫌みったらしい親父として登場させていたのだろうか。

そして、「誰かに伝えたいような」レシピの謎も、柿本が『レシピ通りに作れ』とうるさかったわけも、ここで一挙に氷解する。

 

【楓のレシピノート】

楓がレシピノートを作るようになったのかと思ったが、そうではなかった。
そしてこれこそが、楓とレシピを結ぶものだった。

楓の幼なじみ、純也が気持ちいい。職人になりたくて楓の祖父の元へ通っているという設定もよかった。
途中、彼が「すみっこごはん」にある家具を念入りに見ているが、それがやがて終盤へとつながっていく。

そしてその最後でなにもかもが繋がって、読後感をいいものにしている。

お節介おばさんの田上さんは、あまり好きなタイプではない。

 

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