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2020.04.22

山本巧次【開化鐵道探偵】

Photo_20200421133301 著者:山本巧次
価格:1,980円
カテゴリ:一般
発売日:2017/05/28
出版社: 東京創元社
レーベル: ミステリ・フロンティア
利用対象:一般
ISBN:978-4-488-01794-1

明治12年。逢坂山トンネルの鉄道工事現場で不審な事件が続発。鉄道局長の命を受け、技手見習・小野寺乙松と元八丁堀同心・草壁賢吾のコンビが調査を開始。だが、現場に到着早々、乗客が転落死を遂げたと報告を受け…。【「TRC MARC」の商品解説】

「逢坂山トンネル」は、日本で初めて日本人だけで作られたトンネルだとある。
そのあたりの歴史も解って、当初予想した以上に面白かった。

井上鉄道局長というのは実在の方で、実際にトンネル内にも入られたらしい。
男らしい、いい指導者だ。

さて本書だが、ご一新前には八丁堀の腕利きとしてならした草壁は、今は浪人暮らし(?)をしている。
折しも逢坂山トンネンル工事中に不思議な出来事が起き、井上の推薦で草壁が乗り出すことになる。
助手という形で草壁と起居を共にする小野寺の視点で、ほぼ書かれている。

工事の現場には、寄せ集められた工夫たちや生野銀山からやって来た杭夫たちが入り乱れている。

そんなとき、トンネル工事を妨害するような事件が起きた。

草壁のキャラが面白い。
その側で時にハラハラしながら付いて歩く小野寺は、ワトソン的存在だがそこまで信頼されてはいないようだ。

工事現場とは別に、汽車が通るのを快く思わない住民や、工事場近くで居酒屋を営むおまつという女性も登場する。
このおまつは、わけありげに見える。

維新から10年、薩長派閥は存在し、そうした政治的なこともチラ見える。

著者は鉄道会社勤務だというが、どこの方だろう?

また、この逢坂山トンネルは、今の東海道線のトンネルとは違う。
しかし、子どもの頃毎年通ったところで、「京都・山科・膳所・大津」といった順番は、それで覚えた。

前回読んだ【阪堺電車177号の追憶】も面白かったし、また著者のものを読もう。

 

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