遠藤遼【京都祇園 神さま双子のおばんざい処】
著者:遠藤遼
価格:649円
カテゴリ:一般
発売日:2019/02/28
出版社: スターツ出版
レーベル: スターツ出版文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-8137-0636-6
京料理人を志す咲衣は、東京の実家の定食屋を飛び出して、京都で料理店の採用試験を受けるも、あえなく撃沈。人生のどん底にいた咲衣に救いの手を差し伸べたのは……、【「TRC MARC」の商品解説】
神さまがおばんざい処を経営??という、何とも意表を突いた設定。
最近多いこの手の表紙絵は、苦手だ。というより、嫌いだ。
しかし中身は、なかなか面白かった。
なにより高級料理ではない、おばんざい処というのがいい。
それはともかく、双子の兄神さまが調理を、弟神さまが接客を担当。
弟は男衆もしている。
第一話は、その祇園のお茶屋のおかみと元婚約者の物語。
第二話「娘への想いは茶碗蒸しときんぴらに」
義理の仲の母子の話は【すみっこごはん】にもあったけれど、こっちの方がよかった。
継母だと知られていないと思っていた母親が、娘が戸籍を見たと動揺する。
その母を見て、娘は母の気持ちを疑う。
『自分がいない方が、母は自由になれたのでは』という言葉を発して、瀕死の事故に遭う。
言霊どおりになってしまった。
何とか助けたい咲衣は双子神の父、八坂神社の祭神である素戔嗚尊に訴えるが、その尊がさそく「なるかみや」にやってきて「娘を救うよう」弟神を叱るというのが、何とも面白かった。
第三話「先代の最中、お客様のためのぜいたく煮」
色々アイディアを考えて和菓子屋をついだ孫息子に欠けていたものは……。
「贅沢煮」、食べたくなったな。でも今の人は食べてくれるかなぁ?
第四話の「嘘つき親友へ捧げるサツマイモの甘露煮」
これは、頂けなかった。
いや、そもそも神さまが市井でおばんざい処をしているというのだって充分奇抜な話なのだが、それはファンタジー的なものとして楽しめる。
しかし、短大生の早苗が4年後までを解っていて結婚し、その4年後に息子を残して死ぬ。
それだけならまだしも、ある期間、この夜に出てきて三人で過ごすとは……?
全体に、面白い本だった。
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