相戸 結衣【しつけ屋美月の事件手帖】
著者:相戸結衣
価格:712円
カテゴリ:一般
発売日:2017/02/15
出版社: マイナビ出版
レーベル: マイナビ出版ファン文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-8399-6185-5
愛犬しつけ教室にドッグトレーナーとして勤務する美月のもとにやって来るのは、おデブなラブラドールに捨て犬疑惑のチワワ、そしていなくなったトイプードルを探す飼い主…。問題があるのは犬よりも人間だった!?【「TRC MARC」の商品解説】
【路地裏わがまま眼鏡店】(20.05.15)と同じ著者の本で、舞台も同じ場所だった。
美月は両親を事故で失い、ひとり暮らしをしている。当然、西木小井町ではなく、「鮒」の方。
犬の教室(?)を開いている「愛犬しつけ教室STELLA」で、アルバイトをしている。いつかは災害犬を育てるのが夢だ。
近所には犬の病院もあり、そこのスタッフ糸川とは幼なじみだ。
また、メガネ屋の高校生の息子も登場する。
毎朝美月の散歩する頃、登校する途中で爽やかに挨拶をする少年として美月には映る。
それぞれの章では、最初に犬の視点からの「語り」があり、その後美月目線の話に移る。
ちょっとした事件というか、それを美月が解きほぐすという展開。
ハードなミステリもそれはそれで面白いが、こうした軽いものの方が最近は読むのが楽だ。
【第1話 犬はかすがい】
定年後の夫婦がラブラドール・レトリバーを飼っていて、その犬が肥満なので指導してほしいと糸川に頼まれた美月。
飼い主の夫の方は元教師で、家でも何でも自分の思い通りでないと気が済まない頑固者。
その夫がエサをやり過ぎなのは「もしかしたら……」と推理した二人だったが……。
まさに「犬はかすがい」で、何とか解決出来るだろう。
【第2話 かわいい犬には旅をさせよ】
今度はメガネ屋が舞台。
家の前に置かれていた、チワワ。店主三条はそれを拾ったものの、かわいくて手放したくない。
飼い主が現れるまで保護するという名目で、息子とともに可愛がるのだが……
息子と父親のお互いに相手を思いやる気持ちに、和める。
口の悪い天王寺も、三条の計画を手伝っている。
【第3話 連理の犬】
この辺から、少し雲行きが怪しく なってきた。
語り手(語り犬?)の飼い主が、学校でいじめにあっているようなのだ。
【第4話 犬は友を呼ぶ】
第3話で少し出てきた学校でのいじめ問題に発展していく。
PTA会長が犬嫌いというところから始まった騒動なのだが、これに美月たちも巻き込まれる。
プロローグで美月がむかつく飼い主に『悪いことは言わない。さっさとしつけ教室に連れて行け』と言ったあと、『ただし、犬よりも、飼い主(おまえ)のしつけが必要だ!』と言ったのには溜飲が下がった。
そしてここでも美月は理解の悪い母親たちに、『子どもたちを追いつめたのは、あんたらだ。犬よりも、親(おまえ)のしつけが必要だ!』と言う。
【エピローグ】では、何と語り手(語り犬・)ソラが、審査会に出場する。
本書を読むと、賢い犬を飼いたくなるだろう。
いや、犬を賢くするのは、生まれつきもあるが飼い主次第とも言える。
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