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2020.06.16

【准教授・高槻彰良の推察4】extra

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【准教授・高槻彰良の推察4】は中編二つとextraから成っている。

その【extra】としての【それはかつての日の話 Ⅱ】がよかった。

尚哉が渉から聞いた話の内容だ。

父親によって、母の弟高槻渉に預けられた彰良のイギリス時代の話。

渉自身、自分の父親(彰良の祖父)から通帳とカードだけ渡されて捨てられたという過去を持つ。
彼が欲していたのは、「家族」。
そのために、自身が経営するアパートメントの住人には、「夕食は必ず一緒に摂ること」というルールを課している。

 

彰良は新しい学校にも慣れていくが、クラスのいじめられっ子と仲良くなったことで、いじめグループに目を付けられる。
そしてそのことで彼らに怪我をさせてしまう。

学校から呼び出しを喰らった渉は、すっ飛んでいく。
しかめ面をした教師と、恐縮している彰良。

だが、事情を聞いた渉が、彰良は悪くない、説教するなら彼らの方にと言って連れ帰ろうとした時の教師の言葉。

 そのとき、教員が言った。
「いえ、すでに彼らにはきつく説教をした後です」
「……何ですって?」
 思わず足を止め、渉は振り返る。
 教員は相変わらずしかめっ面のまま、こう続けた。
「本日は、これまで彼らの悪質な行為を見逃していたことについて謝罪させていただきたく思い、ご足労いただきました。相手に怪我をさせたミスター・タカツキの行動については少々やりすぎかもしれませんが、一対多の状況での自衛ならばやむを得なかったと判断いたしました。今後はこのようなことが起こらぬよう努めるつもりです」

こういうことを言える、日本の教師がいるだろうか?

 

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