近藤史恵【サクリファイス】
著者:近藤史恵
価格:605円
カテゴリ:一般
発売日:2010/02/01
出版社: 新潮社
レーベル: 新潮文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-10-131261-3
ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと—。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。【「BOOK」データベースの商品解説】
物語は一カ所を除いて、「僕」白石 誓の視点で進む。
高校時代優秀なスプリンターだった白石は、常に「より速く」走ることを求められ、ちょうど失恋したこともあって陸上をやめてしまう。
この時の失恋相手の受け止め方が、(後に判るのだが)実に勝手だ。それが彼女の最近の恋人の悪意を誘っているから尚更そう思うのだが。
自転車競技を始めた白石は、大学を出て職業人チームに入る。
同期の伊庭は実力があり、上昇志向が強い。
チームのエース、石尾。彼を支える、最年長の赤城。
監督の斎木や元恋人の香乃など、多彩な人物が彩る。
そして、石尾が「潰した」とされている袴田も。
「ツール・ド・フランス」というのはニュースになったときは「すごいことするなぁ」程度のことでは知っていたが、ロードレースについては全く無知だ。
最初、そのロードレースの仕組み等についても記述されており、この競技が団体で勝ちを取りに行くということや、ずっと黒子に徹する役割もあることを知った。
白石にはエース石尾の「アシスト」としての位置づけがあり、一方の伊庭はエースを狙っている。
と、スポーツ小説かと思って読み進めるうちに、ミステリの要素を醸し出してくる。
果たして、石尾と袴田の衝突は事故だったのか、噂のように石尾が袴田を潰すためにしたことなのか?
恨みも、ここまで来ると邪悪だ。
「サクリファイス」(生贄)とは、だれのだれに対する、あるいは何の何に対するものなのか?
続編もあるらしい。
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