【運命の八分休符】
著者:連城三紀彦
価格:858円
カテゴリ:一般
発売日:2020/05/29
出版社: 東京創元社
レーベル: 創元推理文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-488-49813-9
心優しき落ちこぼれ青年・軍平は、度々事件にまきこまれては、素人探偵として奔走する羽目に…。殺人の容疑をかけられたモデルを救うためアリバイ崩しに挑む表題作など、5人の女性をめぐる5つの短編を収録する。【「TRC MARC」の商品解説】
えっ?これ、連城三紀彦?
というくらい、これまでのイメージとは違った。
しかし【私の叔父さん】のような著作もあるし、単に自分が未知だっただけの話だ。
探偵役は、冴えない20代の男、軍平。よくもここまでおとしめたというような、コロンボも真っ青な「かわいそう」な風貌をしている。
それが何と、本書5篇に出てくる、いずれも美女のヒロインにモテるモテる。
表題作【運命の八分休符】は、お馴染みベートーベンの交響曲第5番「運命」にちなむもの。「運命」の出だしは「8分休符」から始まっているというのが大きなヒントだ。
このトリック、どこか覚えがあったのだが、山村美紗が使っていたらしい。ただし著者はそのことをご存じなく、あとで謝罪なさっていると「あとがき」にあった。
【邪悪な羊】は、ヒロインは面白いのだが、話はまさに邪悪な犯人のせいで後味はよくなかった。母親が、実の娘を……。いや、現在実際に事件が起きている。
ここでは祥子が「粗忽者」というのがキーワードになっている。
【観客はただ一人】は、ヒロイン宵子の絶望がよくわかる。そしてそのことに、読者も気づいているだろう。
【紙の鳥は青ざめて】
晶子の工作が、ちょっと興ざめ。
【濡れた衣裳】
弟の病気のためにホステスになった梢子の話だが、軍平はその真意を見抜く。
これが一番よかったかな。
そして、学生時代に空手の試合で対戦相手の運命を奪ってしまった軍平が、自分が幸せになったらダメだという「人生観」も悲しい。
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