彩瀬まる【神様のケーキを頬ばるまで】
著者:彩瀬まる
価格:616円
カテゴリ:一般
発売日:2016/10/12
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-77366-3
シングルマザーのマッサージ師が踏み出す一歩、喘息持ちのカフェバー店長の恋、理想の男から逃れられないOLの決意…。雑居ビルを舞台に、もがき、傷つき、それでも前を向く人々を描く。明日に向かうための短編集。【「TRC MARC」の商品解説】
【泥雪】
はじめて自分の店(マッサージ)を持ったとき買った「雪が降っている絵」。
店の場所は変わっても、この絵はいつも壁に掛かっている。
その作家は後年映画監督になり、そこそこ有名人に。
だが、初めて作品として書いた画とは、ずいぶんイメージが違ってしまった。
【七番目の神様】
呼吸器が弱く、「走り」が苦手。徒競走ではいつもビリ、七番目。
そんな僕も、とあるチェーン店の店長になっている。
いつしか接客も得意になり、恋人(らしき彼女)も出来た。
その彼女が進めてくれた映画の監督が、【泥雪】で出てきた画家だったとは。
また、この店は【泥雪】の鍼灸院と同じビルの同じ階にある。
そしてマッサージ師は、僕からは「さえないおばさん」と思われている。
どうやら、単独の短編を集めたのかと思っていたが、それぞれの話につながりがあるようだ。
【龍を見送る】
これまた、同じビルの同じ階にある古書店のアルバイト店員の話。
「龍」とは、彼女朝海が意気投合してバンドを組んでいるボーカル「きつね」こと哲平のこと。
いつか恋人同士になっていた二人だったが……。
【光る背中】
「光る背中」とは、本編の語り手十和子が好きなプロレスラーの背中。
イケメンの彼に翻弄された日々から解放され、それまで生で見ることのなかった試合を目の前で見ての感想。
ここでも、映画「深海魚」が出てきた。
【塔は崩れ、食事は止まず】
おいしいパンケーキを提供して繁盛していた店の共同経営者だった語り手。
その共同経営者とけんか別れの形で店を辞める。
相手は違う場所で店を出し、かなりの人気店になっている。
それを見て傷つきながら、ダラダラと過ごす日々。
向かいにある建物が壊されると知り、その2階にあったマッサージの店で施術を受けて、少し気持ちが変わる。
ようやく量販店のアルバイトを始め、そこの同僚(先輩の正社員)の子どもを預かったりするようになる。
その子を喜ばせようと、封印していたパンケーキのレシピを使う。
ここへ来て、ようやく本のタイトル【神様のケーキを頬ばるまで】の意味が解った。
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