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2020.09.15

伊坂幸太郎【アイネクライネナハトムジーク】

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著者:伊坂幸太郎
価格:660円
カテゴリ:一般
発売日:2017/08/04
出版社: 幻冬舎
レーベル: 幻冬舎文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-344-42631-3

情けないけど、愛おしい。ごく普通の人たちが巻き起こす、跡...

 

短編集だが、すべてつながっている。
登場人物たちも、直接ではなくても少しずつつながりを持っている。
伊坂さんらしい、スマートなつながり方。

ただしその分、登場人物たちをしっかりと把握しておく必要がある。

冒頭作【アイネクライネ】では、先輩の失敗でデータが飛んでしまい、その後始末をすべく仙台駅前のペデストリアンデッキでアンケートをとっている「僕」。

著者の本には、よくこのデッキが登場する。そしてここは好きな場所の一つだ。

そして駅のテレビでは、ライトヘビー級のタイトルマッチ戦が放映されている。

「僕」が所用で訪れた学生時代の友人は、当時皆の憧れの的だった由美と結婚している。

このボクシングと、もう一つ「トイ・ストーリー」というアニメとその登場人物のストラップもこのあと頻繁に登場する。

【ライトヘビー】

ここでは、美容師が登場。
客の一人と懇意になり、あろうことか彼女の弟と電話で(のみ)話すようになる。
彼は時々、長期の出張でまったく連絡をくれないときもあるが。

その客の家を訪れて、【アイネクライネ】で描かれていた試合をテレビ観戦する。
実はその新チャンピオンというのが……、なのだが。

彼女が「自慢に思っている友人」というのは、先に出てきた由美だった。

 

【ドクメンタ】

ここでは、妻に出て行かれた藤間がメイン。
その妻からの「さようなら」というメールに動転して、データが消えるという失策をしたのだった。

この章は、非常に面白かった。
なぜなら、自分にそっくりの人たちがいることを再確認できたから。

10年前。藤間は免許更新時に赤ん坊を連れた女性と遭遇する。
聞くと、彼女も藤間と同じようにめんどくさがりらしい。
その頃の藤間は独身で、ただ彼女の話を聞いているだけだった。

ところが5年後(つまり5年前)、藤間はまたも教習所で彼女と再会する。
彼女の夫は彼女のずぼらさに愛想を尽かし、出て行ったという。
ちょうど藤間に子どもが出来、ずぼらさを妻に指摘されるようになった頃だ。

そしてこの年。藤間の妻は子どもを連れて出て行った。
自分がどうも彼の女性のあとを追ったような人生だと思った藤間は、免許更新をこれまでと同じギリギリのタイミングで出かける。
しかし彼女は来ておらず、終わってから買い物に来ていた彼女と再会する。
なんと彼女は、かなり物事をキチンと出来るようになっており、夫も戻ってきているとか。

藤間はそれが自分の未来だと確信し、次の日、銀行口座の記帳に出かけるところで終わっている。

と、一つずつ書いていくと色々あるのだが、伊坂さんらしく、現在と過去を行ったり来たりする。
最初の登場人物たちが結婚して、その子どもたちの話も出てくる。

以下、それぞれのタイトル。

【ルックスライク】

【メイクアップ】

【ナハトムジーク】

最初にも書いたが、スマートに収束する。
会話も、いかにも伊坂さん流だった。

 

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