柚木麻子【ランチのアッコちゃん】
著者:柚木麻子
価格:591円
カテゴリ:一般
発売日:2015/02/09
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
サイズ:15cm/199p
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-51756-9
「アッコ女史」こと黒川部長の1週間のランチと手作りのお弁当を交換することになった三智子。彼女のルーティンに従って外でランチをするうちに元気が湧いてきて…。表題作ほか全4編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
澤田三智子は、派遣社員として小さな出版社で働いている。
その上司、部長の黒川敦子は、陰で「アッコちゃん」と呼ばれているが、厳しい女性だ。
表題作【ランチのアッコちゃん】では、失恋したばかりの三智子は、黒川に一週間ランチの交換をすることを命じられる。
黒川は三智子の作った弁当を食べ、その代わり三智子は黒川が行っていた場所でランチをするというもの。
黒川の示す行き先は曜日ごとに決まっており、
月曜日は、カレー店。
火曜日は、バンで提供されるスムージーのお店。
木曜日は外へ行かなくてもいいと命じられ、屋上へ行くとなんとそこには社長が来て上にぎりのランチだった。
金曜日は、下手をすると自分の分がなくなるようなはやっている店。
そのついでに古本屋からお取り置きの本をとってくるよう頼まれるが、そこの店員と意気投合し、あげくその本が縁で新しい企画を立てるまでになった。
と、順調にいった一週間だったが、次の【夜食のアッコちゃん】では、以前勤めていた出版社は倒産し、三智子は新しい職場に移動している。
そこは女子正社員と派遣社員の仲が悪く、優柔不断の三智子は両方から取り合いになっている始末。
そこへバンで「ポトフ」を売る商売を始めたアッコちゃんが現れ……。
今の職場がいやになった三智子は、アッコちゃんに弟子入りを申し出る。
そして、昼の勤めを続けながらの試験的な一週間が始まった。
このまま二人の話が続くのかと思ったら、違った。
次は【夜の大捜査先生】
派遣社員で、今も気の進まぬ合コンに参加している○。
話しかけてきた男性が同い年だと判り、つい出身校の話などする。
お嬢さま校だったこともあり、彼女は話題の中心に。
だが実は、彼女の高校時代は放課後にあったのだった。
そんなところへ、その居酒屋に出身校の制服を着た女子高生が現れ……。
と進んでいくのだが、正直先の二作に比べて面白くなかった。
ただ、12年前と変わらず生活指導をしている当時の担任との邂逅が、ちょっと救いになる。
と、そこへアッコと三智子のバンが通りかかり……、という展開。
美味しいポトフは、ここでもやさぐれた心を救う。
【ゆとりのビアガーデン】での、使えない社員というのも、奇抜なようでよく似た展開。
大手総合商社の社内ベンチャーの仕事ぶりとの対比が面白い。
残業当たり前で深夜に及ぶ勤務もあり、中には会社で徹夜をする社員までいる。
使いない社員玲実は、仕事をすれば失敗する。ものは壊す。お使いに出ればビルの守衛を話し込んでいる。
という始末で、たった三ヶ月で退職してしまった。いや、社長の豊田に追い込まれたのかもしれない。
そんな彼女が、一年ぶりにそのビルに現れた。ビルの守衛は実はオーナーで、亡くなったときに玲実に屋上を進呈したという。
屋上にビアガーデンを開店するというのが、玲実の戻ってきた理由だ。
はてさて、玲実の新商売はうまくいくのか?
今回は玲実がマラソンに出て転んだとき、そばを「東京ポトフ」のたすき(?)をつけた女性が走り去っていった。
これがアッコなのか三智子なのかは判らない。
続編があるらしいが、アッコと三智子メインの話なのだろうか?
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