著者:アガサ・クリスティ
訳者:真崎 義博
価格:858円
カテゴリ:一般
発行年月:2004.7
出版社: 早川書房
レーベル: クリスティー文庫
ISBN:4-15-130051-1
有名な女優のもとにダイヤの盗難予告が届いた。依頼を受けたポアロは、ダイヤにまつわる因縁話の裏にひそむ秘密を、みごとに看破する。
初めての短編集だという。ポワロ初期の事件14篇のうち、ドラマを観たものから紹介。
【マースドン荘の悲劇】
ドラマと違って、ポワロたちは田舎の宿屋の主人に頼まれて出向いていったのではない。
また、お芝居をしたのも当然ながらその主人ではなく、本物の役者だった。
ジャップ警部もお芝居に一役かっている。
そこへ乗っかるように、夫人自身もお芝居をしているが。これはポワロの目論見を知らずにしたことで、墓穴を掘っている。
ポワロが事件に関わったのは、保険会社から調査を依頼されたから。
そして「マースドン荘」へ赴き未亡人に会って、殺人事件だと確信する。
夫が死んで(自殺なら保険金が入らないと判ったら)、絶望的になった配偶者がきれいに化粧などしないだろうというのが、そう判断した根拠だ。そりゃそうでしょ、と思う。
【猟人荘の怪事件】
ドラマではロジャー・ヘイパリングはヘイスティングスの友人という設定だが、原作ではロジャーは単に相談に訪れてヘイスティングスと一緒に既に事件の起きたダービシャーの猟人荘へ赴く。
また、家政婦は信頼できる人物として、ロジャーの夫人とともに待っている。というのは、ロジャーの話。
家政婦については、ドラマと一緒。
【百万ドル債券盗難事件】
これは観ていない。ポワロも船に乗るそうだが、原作では船酔いさえなければ豪華船に乗ってみたいと言わせている。
乗客の一人が犯人で、彼女の何気ないしぐさがヒントになったようだが、この人物は原作にはない。
あとは、ドラマ化されていてこの後観ることがあったら、順番を入れ替えよう。
【〈西洋の星〉盗難事件】8月8日放映の(19)
狙われた、二つのダイアモンド。女同士のライバル意識。それを利用した男の身勝手。
二人の女性が別々にポワロを訪れる。
一人目とは交渉成立せず。ポワロの留守に訪れた女性に、ヘイスティングズは先の女性の話をする。
これって、どうかなぁ。私立探偵が依頼人のことを他の人にベラベラ喋っていいのかなぁ。もっともヘイスティングズは探偵ではないが、張り切っている。
今回何故かポワロが冴えないようだが……。という一篇。かなり笑える。
ポワロは、長身のハンサムな男性を嫌っていないか?
【グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件】1月16日の(41)
プロのボーイやメイドは、空き部屋であってもちゃんと掃除をするというのがヒント。
チビチビと読んでいたら、数の多さにどれがどれか判らなくなってしまった。
収録作だけ並べておく
【安アパート事件】
【百万ドル債券盗難事件】8月29日の(22)。
【首相誘拐事件】8月1日(18)放映の「誘拐された総理大臣」だろうか。
後ろ二篇は、ポワロの思い出話。
【消えた廃坑】は、悪人さえもポワロを利用しようとする(つまりポワロに依頼する)ことがあるという話。
最後の【チョコレートの箱】は、失敗談だとポワロは言う。
自分が傲慢になったら、『チョコレートの箱』と言ってくれるよう、ヘイスティングズに頼む。
しかしその舌の根も乾かないうちに自分を自慢し、ヘイスティングズが言った「チョコレートの箱」は聞こえないふりをする。
事件そのものは、真犯人がポワロに真実を話すという形でオチがついていた。
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