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2020.11.27

アガサ・クリスティ【愛国殺人】

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著者:アガサ・クリスティ
価格:880円
カテゴリ:一般
発行年月:2004.6
出版社: 早川書房
レーベル: クリスティー文庫
利用対象:一般
ISBN:4-15-130019-8

歯医者での治療を終えてひと息ついたポアロの許に、当の歯医者が自殺したとの電話が入った。なんの悩みもなさそうな彼に、自殺の徴候などなかった。これは巧妙に仕掛けられた殺人なのか?

マザー・グースの歌は、クリスティアがよく使うテーマだ。
歌のそれぞれの節が、各章の見出しになっている。

ポワロが通っている歯医者が自殺した。
だれもが、彼が自殺するはずがないという。
しかし調べた結果、薬の調合を間違えた彼が、自責の念に駆られて自殺したと判断したジャップは、捜査を打ち切る。

納得いかないポワロはある人物を訪ね、きな臭い話を聞く。

だがこれがミスリードで、タイトルさえも欺いていた。

国家存亡の危機に関する事件と思いきや、全くの個人的な話だった。
冒頭近く、ポワロが靴にこだわるのが何かあるなと思ったのは当たっていた。

本書では、4人の男女が殺される。そのうちにはかなり危ない人物もいた。
「適所にいる適材」であるとポワロが評した人物は、彼らの死に対して冷たい。
犠牲になった歯医者に対しては同情すると言うが、しかし「歯医者は他にもいる」と言い放つ。

それに対するポワロの言葉がいい。

私にとってはこの四人の人々の生命も、あなたの命とまったく同じほどに大切なものだったのです

ポワロ自身、間違って逮捕されたくずのような人間が絞首刑になってもいいと思わないでもなかった。だが、

私のたずさわっているのは自分の命を他人から奪われない、という権利をもっている個々の人間に関することです

とも言うのだ。

 

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