
著者:今野敏・佐々木譲・黒川博行・安東能明・逢坂剛・大沢在昌
編者:西上心太
価格:858円
テゴリ:一般
発売日:2021/01/12
出版社: PHP研究所
レーベル: PHP文芸文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-569-90100-8
確固たる信念で事件に挑む警察官の姿を描いた全6篇を収録。【「TRC MARC」の商品解説】より
警察小説を書いたらいずれ劣らぬ著者たちの短編集。
今野敏【熾火】では、お巡りさんから刑事になった若者の一途さが描かれる。
一緒に組んだ教育係の「いい刑事になれる」という言葉には実感がある。
次の佐々木譲【遺恨】は、かなりグロいシーンから始まる。
中国から来た技術研修生の話もからませ、幼い頃からの「遺恨」が招いた惨劇を描く。
ここに出てくる川久保という刑事は、道警のスキャンダルのあおりを食って、腕利きでありながら地方へ飛ばされている。
【帰り道は遠かった】は、黒川博行著。
軽妙な大阪弁が楽しい。
がんばって事件の核心を見つけ出した「黒マメコンビ」と呼ばれるデコボコ二人組だったが、意気揚々と署へ帰ると、すでにその手配がされていた。
笑える。これも「矜持」??
つづいて、安東能明【死の初速】。初めての作家さん。
マンションで飛び降りた男性。
家族は再婚の妻と、その連れ子。彼は継父になついていない。
事件当時も妻はパートからの帰途で、息子は父と一緒に食事をせず、隣室でゲームをしていた。
明らかに自殺なのだが、「第Ⅱ捜査官」の異名を取る神村は納得しない。周辺を色々調べていく。
途中で話の方向性が見えてきて、辛くなる。いい終わり方をしてほしいと願ったのだが……。
この神村ものは三冊出ているようだ。読んでみよう。
そのシリーズ中に、この【死の初速】も入っているようだ。
続いては逢坂剛の【悩み多き人生】
これまた「御茶ノ水警察署シリーズ」と呼ばれているものの一作らしい。
小学校の同級生同士が、同じ署に配属されている。もっとも、上司と部下という関係になっているが。
これもまた、笑わせられる一作。
最後は大御所、大沢在昌の【水仙】。
登場人物は、鮫島とある。
え?あの【新宿鮫】の鮫島?しかし「生活安全課」勤務?(【新宿鮫】は一冊くらいしか読んでいないが)
その謎(?)はやがて解けるが、色々あったらしい。
「水仙」というのは、ここに登場する女性のあだ名だというが、もっとスゴい名前だった。
シリーズものの中の一篇が多く、他のものも読みたくなってしまった。
「危険」な本であった。
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