【桜宵 香菜里屋シリーズ2】
著者:北森鴻
価格:748円
カテゴリ:一般
発売日:2021/03/12
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-520808-3
妻の死から1年。警察官の神崎守衛は、遺品の中から手紙を見つける。三軒茶屋のビアバー〈香菜里屋〉に、妻は「最後のプレゼント」を用意したというが…。【「TRC MARC」の商品解説】
【花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1】がおもしろかったので、シリーズ2を読んだ。
表紙カバー絵が綺麗だ。これは誰だろう?
相変わらず工藤の推理全開だが、冒頭作【十五周年】はどうも頂けなかった。
設定に、無理がありすぎ。しかも動機が不純。
表題作【桜宵】は、しっとりとしたいい話だった。
だがその分、この女性の気持ちを思って、切なくなる。
(多分)表紙カバー絵で桜を見上げている主人公。その妻の気持ちは、もっと切なかろう。
桜の花びらは、服についたらなかなか取れないんだ。
【犬のお告げ】は、設定に無理がある。
しかし、一旦はリストラされた男の真の目的が判ったとき、物語は別の様相を見せる。
話の進め役であった誠と美野里の二人へ工藤が出したシャンパンの銘柄名は、たしかに『ひっどーい!』ものだった。(「未亡人」という意味らしい)
【旅人の真実】
ここでは、誠たちは結婚し、かなり頻繁に「香菜里屋」を訪れている。
ビールはともかく、出される料理からして決して安いお会計では済まないだろうに。
一番登場する七緒がライター精神満開で真相を探ろうとするが。
バーをおとずれた時と友人たちの評価がまったく違う被害者の顔が違いすぎ、それが悲劇を招いたのだが。
本編の最後も、何やら意味深で怖いものだった。
最後の【約束】では、冒頭作【十五周年】の二人が継いだ店が舞台になる。言わば続編。
これは【花の下にて 春死なん】の時も同じで、冒頭作と最後が同じラインナップだった。
仕組まれて跡取りになってしまったような店主が気の毒(本人はそう思っていない?)で,好きになれなかったのだが。
そこへ、365日店休日も休み無く働いていた工藤が、店の配管工事でしばらく休みになるからと、やってくる。
しかし結局は彼もかり出されて、店を手伝うことになってしまう。
ある日、暖簾を下ろそうかという時間に一人の女性が現れる。
続いて、男性も。
二人は十年前、十年経ったらこの店で会うことを「約束」していたらしい。
「禍福はあざなえる縄のごとし」を地で行ったような二人の話だったが、最後に恐ろしい罠があるのを工藤が見抜く話。
余り関係ないが、「自分が好きになると、その相手は不幸になる」といったセリフを、つい最近見たドラマで聞いた。
こうした思い込みをする人は、実際にいるのだろうか?
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【花の下にて春死なん】(21.04.15)
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