【難事件カフェ2~焙煎推理~】
著者:似鳥鶏
価格:748円
カテゴリ:一般
発売日:2020/05/13
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-79018-9
隠れ家的喫茶店プリエールに県警秘書室の直ちゃんが持ち込んだのは、企業の御曹司が殺害された事件。スイーツが彩る奇妙な3つの事件を、店主の季と、元警官でパティシエ役の弟・智が華麗に解決に導く。【「TRC MARC」の商品解説】
難事件3篇だが、今回はその外側をうめるというか、4番目の事件が絡む。
智が警視庁を辞めた理由も明かされるが、事件の中にはかなり嫌なものもあった(事件はどんなものにせよ嫌なものだが)。
直ちゃんは、警察官だと思わなければ、これは事件持ち込みの「八五郎」と考えればだんだん邪魔にならなくなった。
とはいえ、彼女の警察官としてのスキルアップに繋がる事件もあったのだが。
さて肝心の中身だが、
冒頭作【最高の仲間 奇跡の友情】
なるほどそうでしょうよ、彼らにとっては。
中高一貫校で常にトップだった4人のグループ。それぞれが東大に進学し、卒業後も交流を持っていた。
彼らの父たちは、議員であったり病院長だったり会社の社長だ。
その内の一人が持つ別荘で、4人が集まった日の夜。メンバーの一人が殺される。
外部からの侵入は不可能な頃から、犯人は残りの3人の中にいる。
だがこの事件は、圧力によって一切報道されることはなかった。
結局真犯人は判るのだが、実に嫌な事件だ。
しかし裁判を傍聴していたある記者によって、事件は明るみに出る。
そうでもなければ、やりきれない。
次の【理想は不存在】も、「がまんする」「他人に迷惑をかけない」がテーマのような、暗い話。
「存在しないこと」が理想だなんて、行き過ぎると結局自分に降りかかってくる。
言うべきところでははっきり言うのは大事なことだ。
表題でもある【焙煎推理】は、最後に凝ったコーヒーが出てくる。
ここでも「こわーい」家族関係が出てきて、それでもしっかりした男の子でよかった。
今回は、物語を外から見ているような女性が登場している。
彼女が常連になりかけた頃、動きがある。
それとは別に、直ちゃんは解決していない時間を気にかけていて、彼女なりにそれを追っているようだ。
地道にデータを積み重ね、最後はそれが活きてくる。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 雑誌【鉄道ジャーナル 5月号】(2025.04.24)
- 堀正岳【モレスキン 人生を入れる61の使い方】(2025.04.23)
- 西村京太郎【愛と哀しみのみちのく特急】(2025.04.21)
- 早見和真【アルプス席の母】(2025.04.19)
- 西村京太郎【十津川警部 鳴子こけし殺人事件】(2025.04.28)
コメント