島田荘司【出雲伝説7/8の殺人】
著者:島田荘司
価格:713円
販売開始日:2019/08/28
出版社: 文藝春秋
レーベル: 文春e-book
山陰地方のローカル線の終着駅で、紙袋に入れられた女性の死体の一部が次々と発見された。
捜査の結果、被害者は死亡推定時刻にはブルートレイン〈出雲一号〉に乗車していたことが判明する。
被害者は大学の助手と思われ、有力な容疑者が浮かび上がるが、鉄壁のアリバイが追及を阻む。
休暇で故郷に帰っていた吉敷刑事は、捜査に協力することになるが――。
いやー、面白かった。さすが、島田荘司。「吉敷竹史シリーズ」というのがあるのか。もっと読んでみよう。
何不自由なく育った娘が、無い物ねだりでターゲットを絞り、権力を味方にして打ち勝つことで相手をせせら笑う。
しかし自分が死んでも、その権力者(婚約者になっていた)はまったくといっていいほど悲しんでくれなかった。
途中からは、犯人は絞られて、どういう手段で殺し、その後始末をしたかにフォーカスする。
JRになる前、国鉄末期の昭和59年(1984年)が舞台。
ブルトレがたくさん走っており、「富士」と「はやぶさ」が別々の時刻で走行していた。
時刻表通りにピタッと発着する列車。
トラベルミステリーというか、時刻表ミステリーの王道と言っていい。
そこに出雲伝説が絡むのだから、面白くないはずがない。
結果的に、素人が考えた罠に警察が乗って、事件解決となる。
だが、素人学者というか、こうした在野の学者たちは多く存在していることだろう。
派手な論文も栄誉も求めず、コツコツと自分の求めることを追い続ける。
廻りが何と思おうと、本人たちは幸せだったのでは。
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