深町秋生【探偵は女手ひとつ】
著者:深町秋生
価格:682円
カテゴリ:一般
発売日:2019/01/10
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-77783-8
まったく新しいタイプのヒロインが胸のすく活躍を見せる連作ミステリー!
元警官の椎名留美は、同僚と結婚して退職したが、その夫が殉死して残された娘とともに暮らしている。
探偵社を起業したが、仕事は本来の探偵だけでなく、むしろ「新規オープン店で代理で並んだり、農家の作業を手伝ったりしている。
全体に事件はかなり辛い話が多いが、それを山形弁が補っている。耳で聞いたのなら理解できないことがあるかもしれないが、文字で読むと楽しい。
【紅い宝石】
紅い宝石とは、サクランボのこと
元上司の警察署長から依頼を受けたのは、サクランボ泥棒容疑者の見張り。
東根市というのは実際にもサクランボ農家がおおいところらしい。季節になると「サクランボ泥棒」の話題があるので、多分有名なところなのだろう。
【昏い追跡】
万引きをした女生徒が自殺した。きつく叱りすぎたからではと、廻りの目は冷たい。
だが女生徒が現場で持っていたのはガラケーで、自殺したとき家にはスマホが残されていた。
違和感を抱いた留美は、その先を追求する。
【白い崩壊】
条件がよいのでうっかり訪ねた場所は、いまはカタギだという企業。刑事時代に相対したことのある「社長」の依頼は、行方不明になった従業員(若い女性)の捜索。
断るつもりだったが、彼女たちのことを思って助けに行く。
短編集だが、一つ読んだからハイ次ぎ、とはならない。一つ前の【昏い追跡】も【白い崩壊】も、ずしっと重たいから。
【蒼い育成】
「育成」とはそういう意味だったのかと、終盤近くなって知る。
冬の便利屋は、ひたすら雪下ろし。体力勝負だ。
その中で吝嗇な依頼主から頼まれたのは、彼女の店子を調べること。
思いがけない結果が待っていたが、そのケチなおばさんにも純情なところがあったのだった。
【黒い夜会】
今回は留美の「時折相棒」逸平ちゃんがターゲット。彼の妻に頼まれた浮気調査だ。
しかし彼のやさしさが伝わってきたし、無事友人を救えて、今回はいい話だった。
もっとも途中は随分と怖い話もあったが。
【苦い制裁】
ストーカーに付け狙われていると依頼してきた男。
だが実際は……。
けなげに生きている姉妹の話で、一番ほのぼのしたかな。
留美も、彼女たちからは依頼料を取らなかった。
こういうくずな男は、しっかりと「制裁」されるべきだ。
初めての作家さん。女性らしからぬハードボイルドな作品が多いようだ。
しかも、警察官であっても合法とは言い難い手法を使うような主人公も多い。
本書も結構危ないやり方があった。
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