馳星周【雨降る森の犬】
著者:馳星周
価格:990円
カテゴリ:一般
発売日:2020/09/18
出版社: 集英社
レーベル: 集英社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-08-744153-6
9歳で父を亡くした中学生の雨音は、新たに恋人を作った母親が嫌いだった。学校にも行かなくなり、バーニーズ・マウンテン・ドッグと立科で暮らす伯父・道夫のもとに身を寄せることに。隣に住む高校生・正樹とも仲が深まり、二人は登山の楽しみに目覚める。わだかまりを少しずつ癒やしていく二人のそばには常に溢れる自然や愛犬ワルテルの姿があった。犬の愛らしい姿が心に響く長編小説。
この雨音という少女、中学生にしてはやけに大人だ。
しっかりしているというより、自分というものを持っている。
そのくせ、ややビビリというか、動くのは得意でない。
一方の正樹は、家庭の複雑さから逃れようとしている。
雨音と正樹が親しくなるにつれ、やっかんだ同級生たちからのお約束のいじめということもなく、楽しく読み進めて行った。
ところが、途中から何だか雲行きが怪しくなってきた。
正樹に街で一目ぼれしたとかいう、ケバい高校生が介入してきたのだ。
一気にテンションがさがる。ま、メデタシとなるのだろうと判っていても、鬱陶しい。
せっかくの清流に、こういう汚れた泥は邪魔なだけだ。
とはいえ、これもしつこくなく、その内通り過ぎていった。
途中、東京時代の嫌な同級生との再会などもあるが、その急場を正樹に救われる。ちょっと胸のすく場面。
物語は急に5年後へと進み、雨音は大学生に、正樹はアメリカで山に登っている。
歳月が経つということは、人間よりは寿命が短い動物との別れもあるということだ。
いたしかたないとはいえ、やはりワルテルの死は哀しい。
動物を飼うのが辛いのは、必ず別れが来ること。
老いた動物のプライドも、又悲しい。
ニャムの最期の頃を思い出した。
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