« 今年最小の満月 | トップページ | 向井理がモテない探偵役!? 1月開始ドラマ『婚活探偵』の原作が、ドラマ新帯にて大重版出来! »

2021.12.20

垣谷美雨【希望病棟】

Photo_20211114204601

著者:垣谷美雨
価格:759円
カテゴリ:一般
発売日:2020/11/06
出版社: 小学館
レーベル: 小学館文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-09-406836-8

共感の嵐を呼んだヒューマン・ドラマ『後悔病棟』に続く感動の長編!!

 

シリーズもので同じような話が続くので読むのをよそうと思ったのだが、せっかく購入したのだから一つくらいは読んでおこう。という程度の意識しかなかった。

【後悔病棟】は一つずつの話が独立していたが、今回は摩周湖が担当する患者二人とその関係者の話だ。

摩周湖は、ルミ子に輪をかけた「空気の読めない女医」である。
心配したルミ子は、自分の聴診器を花壇に隠し、その側のベンチでランチをしている摩周湖が拾うように仕向ける。

魔法の聴診器の霊験はあらたかで、摩周湖は二人の心の声が聞こえるようになる。

患者の一人桜子は、施設育ちの高校生。
大人はまったく信用できないと思い込んでいる。

母親は、桜子を捨てたのだった。

貴子は代議士夫人だが、キャバクラでその代議士に見初められたといういきさつがある。
若い頃、彼女は自分の赤ん坊を捨てた。

捨て子の桜子と、子どもを捨てた貴子。
キーワードは、「熊本」と同じ年齢。

「もしかしたら」と思った摩周湖の提案で、二人は別々にDNA検査を受ける。

同じシリーズでも切り口が違って、かなり楽しめた。

いや、楽しめたというより、いやでも世間の不条理に憤らずにいられない。

貴子の行動によって、姑が変わっていくのが面白かった。この人は夫と違い、かなり頭のいい人だ。

桜子も、どんどん自分のやりたいことを見つけて進んでいく。

脇役だが、施設の料理担当者が素晴らしい。
高校を出てから桜子はこの人の家に寄宿させて貰い、その娘のすすめで海外へまで羽ばたこうとしている。

 

ふしぎなのは、摩周湖に診査付き聴診器をそっと譲ってくれたルミ子が、またもや院内のトラベルメーカーになっていること。
この聴診器の効果は、永遠につづくのではなかったのか?
誰かに引き継ぐことという制約ゆえか、次の誰かを見つけると続編が必要になってくるからか?

摩周湖が帰省したとき、母が休暇で帰ってくる。
おそらく生まれて初めて母子の話し合いがあって、聴診器のふしぎな縁を知ることになる。

 

著者のこれまでの本の中で、イチオシかもしれない。

 

|

« 今年最小の満月 | トップページ | 向井理がモテない探偵役!? 1月開始ドラマ『婚活探偵』の原作が、ドラマ新帯にて大重版出来! »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 今年最小の満月 | トップページ | 向井理がモテない探偵役!? 1月開始ドラマ『婚活探偵』の原作が、ドラマ新帯にて大重版出来! »