瀬尾まいこ【優しい音楽】
著者:瀬尾まいこ
価格:540円
カテゴリ:一般
発売日:2019/06/13
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-52232-7
ちょっと不思議な交流が生みだす、温かな心の触れ合いを描いた作品集。
テレ東の新春ドラマスペシャルで放映されるらしい。
主演は、土屋太鳳。
短編集で、ドラマは表題作「優しい音楽」だ。
読んでいて、途中タイトルが「優しい音楽」であることを忘れていて、終わってからあらためて認識した。
まさに、「優しい音楽」だった。
登場人物すべていい人たちで、最後の合奏・ソロの歌がよかった。
これで、ようやく主人公は認められたのだった。
【タイムラグ】
深雪は愛人の平太から、自分たち夫婦の旅行中に娘を預かって欲しいと頼まれる。しかも旅行先は、ハウステンボス。
夏に深雪と二人で行こうといいながら、結局行けなかった場所だ。
何とも無神経な話だ。
当日やってきた娘佐菜8歳は、とてもしつけの行き届いた子で、母親の育て方がうかがわれる。
佐菜はあまり愛想のいい子ではなかったが、ふかし芋に感嘆し、次の日はポテトを作ることに賛成する。
翌日、二人は「豪遊」と称して買いものと遊びに行こうとする。
ところが佐奈は綺麗なワンピースにも興味を示さず、父方の祖父の家へ行きたいという。
祖父は両親の結婚に反対だった。
佐菜と母親は何度も祖父宅の前までは行っていた。
その道中で、佐菜は結婚に反対されたのは、母親が聴覚障害だからということを知る。
祖父宅では、深雪は勇をふるって祖父を説得する。
帰りしなに祖父は、「また来い」と言ってくれた。
しかし、このあと深雪はどうするのだろう。
いい加減な平太と、この先も付き合うのだろうか?
【がらくた】
登場人物は3人
一緒に暮らしている章太郎とはな子。それに初老の男性佐々木さん。
ある日章太郎が帰宅すると、見知らぬ男性が家にいた。
はな子は、公園で拾ってきたと言う。
佐々木というその男性は大学教授だったが、リストラされ、しかも妻から離婚を突きつけられ、今はホームレスとして公園で暮らしている。
見るに見かねてはな子が「拾って」きたのだが、年末から正月にかけて奇妙な三人暮らしが始まる。
最初は「何だかなぁ」と思いながら読んでいたが、次第にこの暮らしぶりが面白くなってきた。
佐々木は、章太郎たちが知らないことを、さりげなく色々教えてくれる。
初詣に行ったことや、書き初めをしたことなど、かなり充実した正月を過ごした二人だったが……。
人の価値観などさまざまで、それぞれ認め合っていいのではないか?
そんな気がする作品だった。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 原田ひ香【財布は踊る】(2025.01.22)
- 古内一絵【東京ハイダウェイ】(2025.01.20)
- 佐々木譲【憂いなき街】(2025.01.18)
- 宮嶋未奈【婚活マエストロ】(2025.01.16)
- 三浦しをん【ゆびさきに魔法】(2025.01.12)
コメント