思い込み
【憧れの女の子】の中の一篇【ある男女をとりまく風景】ではジェンダー問題も取り上げていると書いたが、自分自身、固定観念があることを実感させられた。
しかし読んでいるときに多少の違和感を感じた部分もあり、それがあとの話に繋がっていた。
冒頭、マスミがゴミ出しに出る場面。近所の主婦の視線を気にしている。
もっとあとで出てくるが、学生時代にバンドを率いて熱唱していたこと。
婦人会館でのアート講習会での場面。同じテーブルにいる主婦たちの思い(グループに入れるかどうか)を察し、自らフレンドリーに自己紹介していく。
その作品(モビール)を、帰宅した連れ合いのジュンは「こんなことして遊んでいるの?」となじる。
またマスミは、家事を完璧にこなす。流しのカランをピカピカに磨き上げた達成感などには、共感出来る。
そしてジュンになじられたとき、家事の費用対効果について語るが、ジュンは耳に入れようとしない。
この辺を読んで、読者の殆どが同じ思いであったろう。
それが裏切られたのは、ジュンが家を出て友人宅に泊まり、話し合いの場でその友人が『ジュンちゃん、妊娠しているのよね』と言ったときだ。一瞬、目を疑った。
マスミは専業主婦でジュンが働いて収入を得ている。
この「当たり前」の構図が、逆転していたのだった。
ジュン自身、マスミが働かないことに対して不満がある。
マスミが、『子育ては自分がする』と言うのに対し、『働いて欲しい』と望む。
結局話し合いはうまくいかず、二人は別れることになるのだが。
いやー、思い込みというのは恐ろしい。
画像は4年前の今日、ご近所のユキヤナギ。春ですねぇ!
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