木皿泉【昨夜のカレー、明日のパン】
著者:木皿泉
価格:660円
カテゴリ:一般
発売日:2016/01/07
出版社: 河出書房新社
レーベル: 河出文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-309-41426-3
7年前、25歳で死んだ一樹。嫁のテツコと一樹の父は、まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日々の中にある「コトバ」の力が心にしみる連作小説。
【ムムム】
テツコは亡くなった夫の父と暮らしている。
彼女には付き合っている人がいる。しかし結婚には踏み切れない。
その理由を、テツコは「家族を作るのが嫌だから」と言う。
哀しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだと知ってから、テツコは、いろいろなことを受け入れやすくなったような気がする。
【パワースポット】
タカラは亡くなった一樹の幼なじみだ。
アテンダントのタカラが、テツコに頼まれて一樹の持っていた(実はテツコのおみやげ)「サンタクロース」を持ってフライトする。
テツコはどうやら、あるけじめをつけたい模様。
【山ガール】
テツコは義父を「ギフ」と呼ぶ。文字通り「まんま」だが。
その義父に何か趣味をと勧めていて、会社の同僚が山登りをしている話になった。
テツコもそう親しいというわけではないが、ギフはその話に乗り気になる。
装具を整え、山登りの日を待つ。
その「山ガール」を師匠とした山登りは、またギフに新しい生き方を教えてくれたのかもしれない。
テツコと同じく、彼女も他人に迎合しない潔い生き方をしていた。
【虎尾】
虎尾とはまたスゴイ名前だが、一樹のいとこで自動車を引き取ってくれた。
母親からは邪魔にされている自動車だが、虎尾は廃車にする気になれない。
だがある日、テツコが密かに持っていた骨片を一緒に墓に戻しに行った頃から、彼もまたけじめをつけて車を処分しようかと考え始める。
【魔法のカード】
テツコに結婚を申し込んでいる岩井が、結婚詐欺に遭って500万円ほど失ったらしい。
その噂に傷つくテツコ。
だが真相は……。
続いて一樹の亡くなった母、夕子の話【夕子】
そしてギフと岩井の二人だけの【男子会】
脛に傷持つ二人のナイショのお話し。
【一樹】で、亡くなったテツコの夫一樹の話になる。
そしてここで初めて、タイトルの【昨夜のカレー、明日のパン】になる。
文庫版書き下ろしの【ひっつき虫】が最後に来る。
順に読んでいくと、一つ一つの話は独立していながら、繋がっている。
登場人物も少ないし、比較的狭い範囲で完結している。
脇役ながら、【夕子】での、彼女の先輩で理不尽なことで退社する女性、秋山さんがかっこよかった。
テレビでは、片桐はいりが演じていたらしい。
著者の木皿泉さんは、夫婦での書き手だとか。本業は脚本家らしい。
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