横溝正史・島田一男・井沢元彦・島田荘司【悲劇への特急券】
著者: 横溝正史・島田一男・井沢元彦・島田荘司
価格:715円カテゴリ:一般
発売日:2021/02/10
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-52447-5
昭和の文豪や現代を代表する作家たちが紡ぐトリックと謎解き。その妙が存分に楽しめる一冊。
収録作
探偵小説 横溝正史
鉄道公安官 島田一男
不運な乗客たち 井沢元彦
ある騎士の物語 島田荘司
【探偵小説】
招待されたとある別荘からの帰途。列車が遅れるのでやむを得ずホームの待合室で待っている3人。
その内の一人は探偵小説作家で、次の小説の構想を他の二人に語る。
待合室の隅には具合の悪そうな二人連れがいるだけ。
ここである程度ネタバレが予想できるのだが。
作家が構想中の小説は、その町で起きた実際の殺人事件を元にしている。
そして想像した犯人は当たっていて、「その後」があった。
横溝正史というのが、ちょっと意外だった。
【鉄道公安官】は、文字通り島田一男の鉄道公安官ものの一篇。
話が二転三転して、少々ややこしかった。
裏切る探偵、偽者登場など。
自動車オイルの能力が二倍になる方法を研究している、大学助教授。
そして彼は、それを石油会社に売り込もうとしている。
その彼が、夜行列車「出雲」から姿を消した。
「自動車オイルの能力が二倍になれば、この研究を独占した石油会社は大きな利益をつかむ……」のではなく、
「一キロ走る油で二キロ走るようになれば、油は半分しか売れない」というのが、面白かった。
また、大阪を走る「オート三輪」もなつかしい。
【不運な乗客たち】
ここに出てくる探偵役 南条は、著者の他の作品にも登場するのか?ワトソン役の新聞記者久保田や、香川警部も常連?
何とも奇妙且つ細心の計画で行われた殺人事件。
冒頭、この「事故」で犠牲になった河本が、いつもおなじ電車に乗るサラリーマンらしき男性が、その日に限って乗ってこなかったことをちょっと訝る。
そしてこれが大きな伏線だったのだが、そのことは死んだ河本以外にはとうとう判らずじまいに終わる。
骨董屋の南条か。別の作品も読んでみたいな。
【ある騎士の物語】
島田荘司だ!そして、御手洗もの。
トリックは面白いが、かなり無理があるような。
線路での往復は可能でも、タイヤの取り付け・取り外しの時間はかなり難しそう。
以上、本書はミステリー、じゃない「探偵小説」の大御所ばかり集めた秀作だった。
【悲劇への特急券】というタイトルは、「特急券」を使うという意味ではなく、「悲劇へまっしぐら」ということだった。
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