鮎川哲也【白昼の悪魔】
著者:鮎川哲也
価格:692円
カテゴリ:一般
発行年月:2007.8
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-74298-0
練りに練られたアリバイ・トリックに名探偵・鬼貫警部が迫る!
表題作で冒頭作の「白昼の悪魔」は、ヘリコプターで広告を蒔くという一風かわったアリバイ作り。
二つ目の「誰の遺体」は怖かった。
勿論犯行の手口や遺体の凄惨な有様もだが、それを平気で成し遂げた犯人の……(以下ネタバレになるので)
比して、可愛い女性探偵の活躍が見事だ。
「(探偵として)依頼された」と言っているが、これは彼女自身のいてもたってもいられないところからの調査だと思われる。
こちらも、なかなか尋常では出来ないことをしている。愛故にだろう。
三作目「五つの時計」も、婚約者からの依頼で鬼貫警部が動き出すことになる。
検察送りになった容疑者は、色々な点で不利な状況である。
一方、犯人ではないかと目される男には、完璧なアリバイがある。
タイトルの「五つの時計」のトリックが、意表を突いていて面白かった。
同じタイトルのものがクリスティにあったような。
そちらは一つの家にある「五つの時計」だったが。
「古銭」のアリバイ崩しは、鬼貫警部の一つ一つを思い出す粘り強い頭から解けてくる。
あらかじめ用意された日記、アリバイ証人が日記をつけないことも織り込み済み。田舎の商店街が閉まる時間も味方につける。
だが、天候を操縦することはかなわなかった。
兵庫県に「餘部」という駅が二つあるとは知らなかった。
一つはお馴染み(?)「あまるべ」だが、もう一つ「よべ」と読ませる。
この二つの駅も使ったアリバイづくり。
それから、わざわざ人を使ってのアリバイづくりもあり、かなり入り組んだ設定。
冒頭の釣りいけでの話がどう繋がっていくのかと思ったが、見事に取り入れてある。
ま、実際には難しいことだが。
最後の【首】は、【誰の屍体】とほぼ同じ遺体識別不可能化。
声だけで相手を判断する人の証言を逆手に取ったアリバイづくり。
しかし来たのが晴眼者だった場合は、どうしたのだろう?
戦後になったとは言え、「職業婦人」に対する風当たりもきつかった頃、婦人記者や女探偵として活躍しているのを見るのは楽しい。
あ、閨秀画家がもそうかな?(謎の疑問符)
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