実習生
【マスカレード・ホテル】を読んでいて、教育実習に行った学生時代を思い出した。
実習のことではなく、その中学校の先生の話なのだが……。
ある教室の前を通りかかった時のこと。
社会科の時間で、地理だった。
先生が地図を黒板の上に掛けようとなさるのだが、小柄なため、なかなかうまくいかない。
何度も失敗なさる姿を見て、中学生たちがゲラゲラ笑っているのだった。
【マスカレード・ホテル】の新田の場合は高校で、かなりしどろもどろに教えている学生(実習生)に対し、ある生徒が「新田に見本を読ませたら」という意味のことを言うのだった。
たかが数週間しかいない実習生よりも、自分が帰国子女であることで教室で浮くことを懸念してその企みに乗っかってしまった新田。
そしてこんなことがなかったら、一生思い出しもしなかったのだろう。
一方その時の実習生の方は(これだけが原因ではないにせよ)望んでいた教師になれず、塾の講師も長続きせず、故郷へ帰る前にとこのホテルに泊まったのだった。
そして実に執念深く、このことを覚えていた。
これが、実は大きな伏線であったのだが。
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