【謎解きミステリー】
著者:有栖川有栖・綾辻行人・道尾秀介
価格:1,760円
カテゴリ:小学生
発売日:2021/12/20
出版社: 汐文社
利用対象:小学生
ISBN:978-4-8113-2911-6
超一流の「本格ミステリー」を収めたアンソロジー。
大人気作家の作品から、ミステリー小説のエッセンスを楽しめるショートストーリーを厳選しました。
【収録作品】
有栖川有栖「赤い稲妻」
綾辻行人「意外な犯人」
道尾秀介「流れ星のつくり方」
【学園ミステリー】に引きつづき、「絶対名作! 十代のためのベスト・ショート・ミステリー」
前回の著者が恩田陸・米澤穂信・ 青崎有吾といった比較的新進気鋭だったのに比し、今回は大ベテランの登場。
有栖川有栖【赤い稲妻】は、氏の他の短編集で読んだ。火村・作家アリスシリーズの一つだ。
綾辻行人【意外な犯人】
作家綾辻行人のところへ、U君が1本のビデオテープを持って訪ねてきた。
このU君、他の作品で年に一回ほど訪れて、その度に綾辻に難問を突きつけ、あげく作家が頭の中に甲虫が居ると錯覚してします、というか、そういう被害妄想を作り上げさせている・
そのU君が持って来たビデオテープは、綾辻行人が作ったもので本人も出演しているという。
身に覚えがない綾辻だったが、一緒に見ることになる。
それは一種のミステリードラマで、U君は相変わらず「犯人は誰か?」と突きつけてくる。
これは途中に大きなヒントがあった。しかしU君の要求は、その先を行くものだった。
【流れ星のつくり方】
久しぶりの道尾作品。
先の【意外な犯人】と同じく、作中に著者道尾秀介が登場する。
道尾が以前世話になったらしい真備と凜の二人は、お礼の意味で誘ってくれた道尾と一緒に海辺の宿に滞在している。
ドリンクを求めて町へ出た凜は、自販機の近くにあるベンチで星を見上げている。
そこへ、後ろ側の家から声を掛けてきた少年。
少年と色々話す内に、彼の体験談を聞く。
少年の両親は亡くなっており、自身も入院していたが、今は祖父母宅で暮らしている。
その体験談というのは、少年の友だちがあった奇禍だった。
少年は、犯人がその家を逃れた方法を解くようにと促してくる。
長い不在に電話を掛けてきた真備に、少年の許可を得て凜はその話をする。
真備は電話の話だけで、真相を見破る。
いっぱい、伏線があった。
ラジオのチューニングのことや、部屋の窓を叩いて合図して学校へ行く話。
最後から二行目で、さらにはっきりした。
道尾さんらしい、鮮やかなラストだった。どんでん返しとは言えないが、いつもの小説のような意外性は健在だった。
この、道尾が世話になった話というのを読んでみたい。
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