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2022.06.30

夏目漱石【彼岸過迄】

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著者:夏目漱石
価格:605円
カテゴリ:一般
発行年月:2010.8
出版社: 新潮社
レーベル: 新潮文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-10-101011-3

夏目漱石、後期三部作の一つ。誠実だが行動力のない内向的な男と純粋な感情を持ち怖れるところなく行動する従妹との恋愛を描く。短編を連ねて一つの長編を構成している。探偵小説風味もあり非常に凝った作品。

 

漱石の「後期三部作」とは 
「彼岸過迄」
「行人」
「こころ」
を言う。

それぞれが独立しているのに、一つの流れのように捉えるのは、前期三部作と同じだ。

 

敬太郎は大学を出てもそのまま下宿に残っていた。半年以上も経ち、もはや冬は目前である。
しかし漱石の他の小説のいわゆる高等遊民とは違い、母1人子1人の暮らしであれば彼が職につかないわけにはいかない
 
彼は友人須永の叔父松本を紹介してもらい、職を斡旋してもらうべく頼みに行く。
その松本から頼まれて、探偵もどきをする羽目にもなる。
 
その間2人の女性が登場する。
 
一人は松本の家に消え、今ひとりは彼に頼まれた探偵ごっこで相手が会っていた女性。

途中、話は突然松本の家と千代子という女性を中心としたものになる。

実は先の「二人の女性」というのは、千代子のことだった。

そしてあるときから、話は須永と千代子といういとこ同士の仲へと踏み込んでいく。
これは須永が敬太郎に語ったものとして綴られる。

その話の中で、千代子の態度がどうも解せない。
女性に翻弄されるという点で、なぜか【三四郎】を思い出してしまう。

 

最後は松本の視点からの話。

ここで、今まで謎のようだった部分が明らかにされ、それはある意味更に須永を苦しめたのだったが……。

敬太郎は、結局狂言回し的な役割を演じたのか?

 

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