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2022.06.14

山本周五郎【寝ぼけ署長】

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著者:山本周五郎
価格:693円
カテゴリ:一般
発売日:2019/03/28
出版社: 新潮社
レーベル: 新潮文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-10-113487-1

「上司にしたい男」№1?
寝てばかりの一見ダメ男が、人情味溢れる方法で難事件を解決。周五郎唯一の警察小説。


現在発行されている本の表紙カバーはまさにこの署長を表しているが、こちらの方がしっとりしているので採用。

所轄の警部や住民などから無能扱いされ、「犯罪の少ない時期だったから何とか無事に過ごせるのだ」という悪口も聞かれる署長。
「犯罪が少ない時期」だったのは、この署長のおかげだったのだ。

事情を聞く際も目をつむって黙っているが、目を開けたときには解決している。
究極の「安楽椅子探偵」かな。

一つ一つが短いので、その連続で案外サラッと読めてしまう。


【中央銀行三十万円紛失事件】

銀行からお金が消えた。

頼まれて署長は銀行に赴き、ほぼ1週間関係者に事件当日の話を聞く。
最初に話したことと寸分違わぬ話をもとめ、それでもって真実にたどりつく。

しかし銀行側もお金が戻れば犯人捜しはいいと言ってくれたので、この件が表沙汰になることはなかった。


【海南氏恐喝事件】

文字通り、町の名士が恐喝され、保護を求めて当事者が署長に話しにくる。

だがその裏には色々複雑な事情があり、というもの。


【一粒の真珠】

濡れ衣事件。署長は常に弱きものの味方だ。

幸福は他の犠牲に依って得られるものじゃない。
そのために誰かが不幸になり、犠牲になるような幸福は、それだけですぐ滅びてしまう―。


【新生座事件】

市へやってきた劇団のゴタゴタ劇。


【眼の中の砂】

どんなに小さくても、気になるものだ。


【夜毎十二時】

人の話だけで信用してはいけない。
犯罪でなくて良かったが、あとは若いふたりが幸せになりますように!

【毛骨屋親分】

これが一番、署長の本領発揮の一幕。

警視庁でも有名で将来を嘱望さらながら、敢えてこの田舎に転勤してきた署長。
市の害悪に挑戦し、見事退治する。

少々荒療治もするが、颯爽としていて気持ちよかった。

ほかに、


【十目十指】
【我が歌終る】

文字通り最後の
【最後の挨拶】には、ジンとくる。

 

残念ながら、Kindle版には、

「山本周五郎と私 横山秀夫」も「解説」もなかった。

 

そうそう、「読書メーター」を見ていて思いだした。
本書は、羽生さんのTweetを見て読んだのだった。
こういう本をご紹介いただいて、感謝です!

 

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