山本周五郎【寝ぼけ署長】
著者:山本周五郎
価格:693円
カテゴリ:一般
発売日:2019/03/28
出版社: 新潮社
レーベル: 新潮文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-10-113487-1
「上司にしたい男」№1?
寝てばかりの一見ダメ男が、人情味溢れる方法で難事件を解決。周五郎唯一の警察小説。
現在発行されている本の表紙カバーはまさにこの署長を表しているが、こちらの方がしっとりしているので採用。
所轄の警部や住民などから無能扱いされ、「犯罪の少ない時期だったから何とか無事に過ごせるのだ」という悪口も聞かれる署長。
「犯罪が少ない時期」だったのは、この署長のおかげだったのだ。
事情を聞く際も目をつむって黙っているが、目を開けたときには解決している。
究極の「安楽椅子探偵」かな。
一つ一つが短いので、その連続で案外サラッと読めてしまう。
【中央銀行三十万円紛失事件】
銀行からお金が消えた。
頼まれて署長は銀行に赴き、ほぼ1週間関係者に事件当日の話を聞く。
最初に話したことと寸分違わぬ話をもとめ、それでもって真実にたどりつく。
しかし銀行側もお金が戻れば犯人捜しはいいと言ってくれたので、この件が表沙汰になることはなかった。
【海南氏恐喝事件】
文字通り、町の名士が恐喝され、保護を求めて当事者が署長に話しにくる。
だがその裏には色々複雑な事情があり、というもの。
【一粒の真珠】
濡れ衣事件。署長は常に弱きものの味方だ。
幸福は他の犠牲に依って得られるものじゃない。
そのために誰かが不幸になり、犠牲になるような幸福は、それだけですぐ滅びてしまう―。
【新生座事件】
市へやってきた劇団のゴタゴタ劇。
【眼の中の砂】
どんなに小さくても、気になるものだ。
【夜毎十二時】
人の話だけで信用してはいけない。
犯罪でなくて良かったが、あとは若いふたりが幸せになりますように!
【毛骨屋親分】
これが一番、署長の本領発揮の一幕。
警視庁でも有名で将来を嘱望さらながら、敢えてこの田舎に転勤してきた署長。
市の害悪に挑戦し、見事退治する。
少々荒療治もするが、颯爽としていて気持ちよかった。
ほかに、
【十目十指】
【我が歌終る】
文字通り最後の
【最後の挨拶】には、ジンとくる。
残念ながら、Kindle版には、
「山本周五郎と私 横山秀夫」も「解説」もなかった。
そうそう、「読書メーター」を見ていて思いだした。
本書は、羽生さんのTweetを見て読んだのだった。
こういう本をご紹介いただいて、感謝です!
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「週刊朝日」最終号(2023.06.05)
- 休刊という名の廃刊(2023.06.03)
- 川野泰周【半分、減らす。】(2023.06.04)
- 二年後のこと(2023.06.01)
コメント