【おまわりさんと招き猫】
著者:槇原翠
価格:759円
カテゴリ:一般
発売日:2021/10/20
出版社: マイクロマガジン社
利用対象:一般
ISBN:978-4-86716-196-8
海辺の下町商店街・かつぶし町の交番に赴任した、おまわりさんの小槇悠介(こまき・ゆうすけ)。
この交番にはずっと昔から、人の言葉を話す謎の猫・おもちさんが住み着いている。
その名も「かつぶし町」の「かつぶし交番」に赴任してきた警官、小槙が語る不思議物語。
「おいでませ、」かつぶし町」
ここで噂に違わぬ「おもちさん」の不思議の数々をみせられた小槙は、結局おもちさんのことを「招き猫」だと位置付けて納得する。
いわば、導入編。
「迷子と口下手」
小槙の同僚は、無愛想な女性だ。
小槙はなんとかして日常会話くらい出来ないものかと試みるが、いつも冷たくあしらわれてしまう。
その彼女が、迷子の女の子を泣き止ますことが出来なかったと自己嫌悪に陥っている。
それを救ったのは、おもちさんと、小槙の笑顔だった。
こんな女性いるのかなと思うが、気持ちに無理を抱えながら過ごしている女性は多いと思う。
自分は自分でいいのだと、もっと小さい頃に判っていたら……。
コミュニケーション上手ばかりが評価されるのではない世間であってほしい。
「ジュブナイル」では、元気少年春川君の淡い初恋を扱う。「ジュブナイル」、少年期らしいすがすがしい話だ。
こんな黒猫、いたらいいなぁ。あ、ニャムちゃんは男の子だったけど。
「大騒ぎはお断り」
おもちさんは喋るので、やはりメディアが放っておかない。今回も、テレビ局がくるという。
小槙は初めてだったが、これまでにも取材は何回かあったらしい。
だが……。おもちさんの対応が絶妙で、笑ってしまった。いいぞー、おもちさん。
「夏に至る」
夏至の夜には、あやかしたちが出るらしい。
その日夜勤だった小槙が体験した「不思議」。
おもちさんには、何もかも分かっているらしい。
春川君のおじいさんの時代からいたという、おもちさん。彼自身、あやかしの一人(?)では。
「わだつみの石」
みんなが大切にしているものは、ケガしてはならない、という教訓。
「キュウリ泥棒」
どうも「夏に至る」あたりから、この町の色々な不思議な話になった。
これも、「キュウリといえばカッパ」のはなし。
いろいろなものに守られているんだな。
あと
「狐の社の神隠し」
「憧憬、そして今」
「おまわりさんと招き猫」
「番外編・土地神様と油揚げ」
こうしてみると、たくさんの話からなっていたなぁ。
「相手の声を聞こうとする気持ちさえあれば、案外なんとかなるものですにゃ」
まさにそういうこと!
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