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2022.06.02

梶井基次郎【檸檬】

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著者:梶井基次郎
価格:440円
カテゴリ:一般
発売日:2013/06/01
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-100838-6

私は体調の悪いときに美しいものを見るという贅沢をしたくなる。香りや色に刺激され、丸善の書棚に檸檬一つを置き--。

 

表題作「檸檬」をはじめ、12の掌編からなる短編集。

繋がっているのかと思えるものもあるし、幻想的なものもある。
それが目的で読み始めた「檸檬」にしても、小説のような、随筆のような。

この余りにも有名な短編ひとつをとっても、そこになにかミステリアスなものを感じるのだ。
うんと若い頃読んだときには感じなかった、哀しみや切なさがこみ上げてくる。

 

特に「冬の日」には、胸が締め付けられた。

弟妹をカリエスで失い、自らも喀血している男の語り。
父が娘の死後落ち込んでいるという母の手紙に、彼は時折母を思い出しては先立つ不孝をわびたくなる。

色々な想像(もはや幻覚?)が彼を誘い、日々体調が悪くなっていく中を生きながらえさせている。


自身に重ねても、辛い。

 

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