梶井基次郎【檸檬】
著者:梶井基次郎
価格:440円
カテゴリ:一般
発売日:2013/06/01
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-100838-6
私は体調の悪いときに美しいものを見るという贅沢をしたくなる。香りや色に刺激され、丸善の書棚に檸檬一つを置き--。
表題作「檸檬」をはじめ、12の掌編からなる短編集。
繋がっているのかと思えるものもあるし、幻想的なものもある。
それが目的で読み始めた「檸檬」にしても、小説のような、随筆のような。
この余りにも有名な短編ひとつをとっても、そこになにかミステリアスなものを感じるのだ。
うんと若い頃読んだときには感じなかった、哀しみや切なさがこみ上げてくる。
特に「冬の日」には、胸が締め付けられた。
弟妹をカリエスで失い、自らも喀血している男の語り。
父が娘の死後落ち込んでいるという母の手紙に、彼は時折母を思い出しては先立つ不孝をわびたくなる。
色々な想像(もはや幻覚?)が彼を誘い、日々体調が悪くなっていく中を生きながらえさせている。
自身に重ねても、辛い。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「週刊朝日」最終号(2023.06.05)
- 休刊という名の廃刊(2023.06.03)
- 川野泰周【半分、減らす。】(2023.06.04)
- 二年後のこと(2023.06.01)
コメント