千街晶之【異界のミステリー】
著者:山白朝子・近藤史恵・皆川博子・竹本健治
編者:千街晶之
価格:1,760円
カテゴリ:小学生
発売日:2022/01/21
出版社: 汐文社
利用対象:小学生
ISBN:978-4-8113-2912-3
日常の世界にひっそりと寄り添う「異界」。その存在に気づいたとき、あなたの現実が揺らぎ出す――。
このシリーズも、三冊目。
知らない作家さんも二人。
山白朝子【世界で一番、みじかい小説】は、この小説が「世界で一番短い」のかと思ったが、そうではなかった。
若夫婦の元にヒッソリと現れる幽霊。
幽霊だから、だれかがこの世に思いを遺して亡くなったのだろう。
けっこうビビリの夫と、クールな妻。
妻は理詰めで真相を探っていく。
しかし結果は、ある家庭を不幸にしただけかもしれない。
知らない方がいいということは、確かにあるのだろう。
近藤史恵【水に集う】は、いわゆる「何かが見える」人の話。
女子高校の話で、中にはセクハラもどきをする教師もいる。
そんな中で、一人の生徒がその教師から一人で補習授業を受けた次の日から不登校になった。
この手の話は好きではないのだが、その「見えるもの」が大阪大空襲で焼け死んだ人たちの魂だと判ったとき、見方が変わった。
いまだ安らいでいない魂たましいを嫌悪けんおして、避さけて生きることにどんな意味があるのだろう。
そして隣の建物が火事になり、高校が類焼に遭いかけたとき、主人公は高校の建物のまわりに水柱が立っているのを見る。
最後の
ここは水が集つどう場所なのかもしれない。
に、救いがある。
皆川博子の【化鳥】は、本当に怖い話だった。まさに「異界」の話。「異界」という言葉は、本編にも出てくる。
ひたすら一人の少年を売り出すことに狂奔した挙げ句、待っていたのは破滅だった。
そして、幻の鳥は飛ぶ。
竹本健治【実験】は、まさに「異界のミステリー」そのものだが、気持ち悪いという印象しか持てなかった。
誰が正気で、だれが狂気なのか?
山白朝子 が乙一の別名だとは、知らなかった。
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