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2022.08.31

加納朋子【空をこえて七星のかなた】

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著者:加納朋子
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2022/05/26
出版社: 集英社
利用対象:一般
ISBN:978-4-08-771797-6

〈日常の謎〉の名手が贈る、驚きと爽快な余韻に満ちた全七話。

 

書き手は、おもに小学校を卒業したばかりの七星。

冒頭作【南の十字星に会いに行く】は「卒業旅行」として父と訪れた石垣島での話。

七星の父北斗の母は、研究のために家を捨てた。だが彼女は、世界的な宇宙研究家として成功し、「パープル博士」と呼ばれている。

その母親(七星の祖母)に会いに行くのも、父の計画のうちだった。
旅の途中で出会ったひとたちも、祖母と縁があった。

星は、すばる】には、色々参考になるというか、「ハッとする」言葉があった。
著者はよくご存じだこと。

ここで出てきた七星とその父、母(話の中だけだが)を中心に、物語が続いていく。

次の「星は、すばる」はその続きかと思いきや、違う子の話だった。
小学校同級生のいたずらが元で目が悪くなり、夢が途切れた子の話。
加害者の少年は、学校では一時も離れず彼女の杖となる。
おそらくこの彼だと思われる人物があとの方ででてくるが(しかも名前だけ)、もう少し触れてほしかったなぁ。

そしてこれは、四半世紀まえの話なのだった。

廃部になりそうな部の部員たちと生徒副会長との交流を描いた「」は面白かった。
この文芸部部長も、副会長も、後に七星と関わりを持つ。

自分の家に下宿してきた美人女子東大生と下宿屋の娘の叔父(同じく下宿)の話も面白かった。
この頃になると、なんとなく筋が読めてくる。

宇宙飛行士という壮大な夢を目指した人が、月を目指すロケットで出発するところで、物語は終わる。

ちょうど現実の「月到着計画」を、一歩先取りしたような話だった。

 

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